訃報

評論家の貝山知弘先生が急逝されました。
https://www.phileweb.com/news/d-av/201801/09/43016.html

心から尊敬出来る評論家先生がまた一人去ってしまい悲しい限りです。

ご存知の方もおられるかと思いますが、貝山先生はかつて東宝のプロデューサーとして数々の映画を手掛けられ、独立後の作品、「南極物語」で長年興行成績のタイトルホルダーを維持されていました。

そんな偉大な功績からは想像出来ないほど、心優しい芸術家でした。

貝山先生とは私がACOUSTIC REVIVEを立ち上げてから20年以上のお付き合いをさせて頂き、忘れられない思い出が沢山あります。

毎年、新しい作品が出るたびに貝山先生に聴いて頂き、その的確な判断能力に毎回驚嘆させられました。
80歳を越えてからもその判断能力は衰えるばかりか更に研ぎ澄まされているのではと思えるほど圧倒的で、最後にお会いした昨年秋のabsoluteラインケーブルの試聴時にも私は自身のFACEBOOKにてその驚きを書かせて頂いたほどです。

弊社の製品も高く評価して頂き、全ての製品を導入、ご愛用頂きました。
しかも驚くべきことに高評価して頂いた製品のレビューは貝山先生自ら雑誌に「寄稿」して頂いたのです。
つまり、原稿料や掲載費など一切なしに推薦、執筆して頂いたということです。
寄稿して頂いたのはPCOC-A電源ケーブル導入時、PC-TripleCラインケーブルの導入時、PC-TripleC屋内配線導入時、そして昨年のPC-TripleC/EX・absoluteラインケーブル導入時の4回にも及びました。

残念ながらそのabsoluteラインケーブルの導入記が貝山先生の絶筆となってしまいました・・・。

貝山先生とは製品試聴後の会食で長年第一線で活躍された方でなければ聞けない数々のエピソードを聞かせて頂くのが楽しみでした。
また、人生の師として多くのことを教わりました。

「やろうと思ったことは必ず実現出来る」「人間は決して威張ってはならない」「接待するときは徹底的にもてなすべき」などなど、
私自身のその後の人生に大きく影響を及ぼした教えも少なくありません。

南極物語における南極ロケをチリ政府と掛け合って実現したこと、サウンドトラックに当時、炎のランナーで人気絶頂だったヴァンゲリスをどうやって口説いたかなど、不可能を可能とした貝山先生の言葉は説得力に溢れていてとても感銘を受けました。

昨年、最後の会食となった時には、あの黒澤明に堂々と歯向かっていたことも語って頂き、正義を貫き決して媚びてはいけないということを学ばせて頂きました。
正義を貫くということでは昨年暮れの某アワードにおける特別賞は貝山先生からの猛烈な抗議によって受賞出来たものだということも報告しておきます。

そして更にもう一つ貝山先生から驚きの発言がありました。

貝山先生は長年、「僕は文系だから技術的なことは判らないんです」というのを口癖のように仰ってましたので、私も真に受けてしまい、ずっと文系の方だと思い込んでしまっていたのですが、最後の会食時に「実は私は米軍相手にアンプを何百台と作っていたんですよ」と言われて大変驚きました。

貝山先生、実は優れた技術者だったんですね・・・。

自身の才能や知識をひけらかさない謙虚さを最後に教えて頂きました。

こんな大人物はもう二度とこの業界には現れないでしょうね。
新年早々失意に暮れています。

貝山先生、素敵な時間を共有させて頂き、また人として大切な多くのことを学ばせて頂き本当にありがとうございました。
心よりご冥福をお祈り致します。

Kさん
こんにちは

偉大な方がご逝去なさったのですね。

Kさんが、
「心から尊敬出来る評論家先生」とおっしゃるのですから、
本当に尊敬すべき方だったのですね。
そんな偉人が、いらっしゃったとは知りませんでした。

「南極物語」は知っていましたが、そうだったのですね。

＞80歳を越えてからもその判断能力は衰えるばかりか更に研ぎ澄まされているのではと思えるほど圧倒的で、最後にお会いした昨年秋のabsoluteラインケーブルの試聴時にも私は自身のFACEBOOKにてその驚きを書かせて頂いたほどです。

昨年秋まで、お元気でいらっしゃったのに、残念です。

＞つまり、原稿料や掲載費など一切なしに推薦、執筆して頂いたということです。
寄稿して頂いたのはPCOC-A電源ケーブル導入時、PC-TripleCラインケーブルの導入時、PC-TripleC屋内配線導入時、そして昨年のPC-TripleC/EX・absoluteラインケーブル導入時の4回にも及びました。

4回にもわたって無償で推薦、執筆なされる方とは、ほんとうに尊いです。

＞また、人生の師として多くのことを教わりました。
こんな大人物はもう二度とこの業界には現れないでしょうね。
新年早々失意に暮れています。

貴重な、偉大な方の喪失、残念でなりません。
オーディオ業界の発展にもっとお力を貸して頂きたかったです。

Kさん、是非、その遺志を継いで、
オーディオ業界の「良心」として、
益々ご活躍されんことを、祈念しております。
かげながら、応援しております。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

モリア１さん、こんにちは。

告別式にて最後のお別れのご挨拶をして来ました。
奥様の最後の抱擁される姿が美しかったです。

ご家族から貝山先生の試聴室「ボアノワール」でお別れ試聴会のお誘いも戴きました。
極親しい関係者を集めて近々行われるかと思います。

私事ですが貝山先生には結婚祝いまで戴きました。
またいつも食事に誘って頂き毎回御馳走になってしまいました。
実は私が支払いをしたことは一度もないんですよ。

皆さん、評論家は金の亡者ばかりだと思われているでしょうが、実際たかりばかりです（苦笑）
しかし貝山先生はこういう部分でも違ったんですよね。

失意でしばらく掲示板も書けずにいましたが、貝山先生の遺志を少しでも継げるようにこれからも良い製品作りに精進致します。