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   [05-04. インシュレーター レゾネーター]天然クォーツインシュレーター RIQ-5010&RIQ-5010W
     スピーカー用特注インシュレーター + RIQ-5010
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投稿者 スレッド
モリア1
投稿日時: 2020/4/12 13:42
長老
登録日: 2014/10/27
居住地:
投稿: 334
スピーカー用特注インシュレーター + RIQ-5010
スピーカー用特注インシュレーター + RIQ-5010

みなさん、こんにちは。

Kさんにお願いして、
スピーカー用の特注インシュレーターを制作して頂きました。
耐震対策してみました。
Kさん、ご対応ありがとうございました。

RIQ−5010(天然クオーツインシュレーター)を設置していましたが、
いつの間にか、スピーカーの脚が、はみ出して、
今にもスピーカーが傾き、倒れはしないかと、
いつもヒヤヒヤしていました。
直すにも一人では容易ではなく、手をこまねいていました。
それを改善すべく、
RIQ-5010を生かすことが出来る、
インシュレーターを特注致しました。


   今にもはみ出して、スピーカーが倒れてしまう不安で・・・


   スピーカーの脚です


    こんな感じで出来たらいいなあ・・・とKさんにお願い




    そしたら、こんな立派なハイブリッド・インシュレーターが完成






    写真はRIQ-5010Wですが、実際はRIQ-5010をセットしました


これで、安心して、眠れます。
肝心の音は、前後で正確な比較が出来る耳を持っていませんので・・・
むろん、悪影響はありませんが、
金管楽器が美しくなったような・・・
トランペットは、従来、カッコ良くて、勇壮なイメージでしたが、
更に美しさが加わり、金管が美しく聴こえるなんて、感動です。

アル・ディ・メオラ
「アクロス・ザ・ユニバース」



アル・ディ・メオラがビートルズのカバーを出すとのことで、
スーパー・ギター・トリオ以来、久し振りに、購入してみました。
2020/3/13発売ホヤホヤです。

アマゾンの解説を転載させて頂きます。
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B9-CD-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E8%A7%A3%E8%AA%AC%E6%9B%B8%E5%B0%81%E5%85%A5-%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%83%A9/dp/B0847YSPKJ/ref=ntt_mus_ep_dpi_1

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現代ギターの名匠アル・ディ・メオラ、ザ・ビートルズとの邂逅。「イエスタデイ」「ヘイ・ジュード」「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」「ヒア・カムズ・ザ・サン」などの名曲に吹き込まれる超技巧美的空間がここにある。

現代ギターの最高峰の1人と呼ばれるアル・ディ・メオラが2020年、新たなディケイドに送る第1弾作品は、ザ・ビートルズへのトリビュート・アルバムだ。

超絶テクニックを誇り、ジャズ/フュージョンからクラシックまでジャンルを超えた多彩なスタイルで絶大な支持を得てきたアルだが、その原点にあるのはザ・ビートルズのポップ・サウンドだ。2013年にはロンドンのアビー・ロード・スタジオで録音した『オール・ユア・ライフ:ア・トリビュート・トゥ・ザ・ビートルズ』も発表している。そしてカヴァー・アルバム第2弾としてリリースされるのが本作『アクロス・ザ・ユニバース』だ。

「美しさと喜びに満ちた音世界へのセレブレーション」とアルが自ら評するこのアルバム。「イエスタデイ」「ヘイ・ジュード」「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」「ノルウェーの森」「ディア・プルーデンス」など、ザ・ビートルズの名曲の数々に、新しい生命を吹き込んでいく。オリジナルに敬意と愛情を込めながらユニークなアレンジを施し、さまざまなエレクトリック、アコースティック・ギターに加え、12弦ハープ・ギター、ベース、ドラムスなども自らプレイするなど、アルのパーソナルな世界観を多彩なギター・サウンドで織り成しながら提示している。

「ゴールデン・スランバー〜キャリー・ザット・ウェイト〜ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」メドレーの抒情的な展開も、アルのザ・ビートルズへの傾倒を感じさせるものだ。一方、「アイル・フォロー・ザ・サン」にはランディ・ブレッカーがトランペットでゲスト参加、ギターとの絶妙な絡みを聴かせる。 さらに「オクトパス・ガーデン」では愛嬢エヴァが3歳のときの歌声を加えて、暖かみのある作風で微笑ませてくれる。 ジョン・レノンのソロ・アルバム『ロックン・ロール』(1975)へのオマージュといえるジャケット写真も、ファンを喜ばせるだろう。

2020年2月上旬には来日公演も実現。歌ごころ溢れるステージで、本作からのザ・ビートルズ・ナンバーも披露されるだろうか。半世紀近くトップを極めながら、レジェンドの座に甘んじることなく、2020年代においても、アルは前進を続ける。【日本語解説書封入】

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10曲目:アイル・フォロー・ザ・サン
  ランディ・ブレッカーのトランペットが美しく、ギターと絡み合います。
  トランペットが美しく聴こえるのも、特注インシュレーターのおかげです。
9曲目:ヘイ・ジュード、11曲目:ジュリア
  アコーディオンが効果的に使われていて、楽しいです。
アルバム全体として、ウキウキしてくるような、とても楽しいアルバムでした。
ビートルズ・ファンの方々も、そうでない方々も、楽しめるアルバムだと思います。
音もいいです。
みなさんも、是非聴いてみてください。

ところで、私がアコリバさんファンになってからは、
従来は全く興味が無かった、
エンジニアリング、ミキシング、マスタリングが重要ということが分かり、
つい、このアル・ディ・メオラのアルバムも誰がやっているのか見てしまいました。

何と、日本人なのですね。
エンジニアリング、ミキシング、マスタリング全てを、
内藤克彦氏
がやられています。
日本人が活躍しているって、嬉しいですよね。

因みに、内藤克彦氏って、どんな人なのか、ネットで調べてみました。
2000年のグラミー賞ジャズ・ヴォーカル部門に、ノミネートされるなど、
活躍していらっしゃるようです。

転載させて頂きます。
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内藤克彦氏について

2001年 2月号 Jazz Life誌 New York Report
http://taktokiwa.tripod.com/Article/NYR0201.html

New York Jazz Witness

繊細さと骨太なパワフルさが絶妙なバランスで同居する
期待の若手レコーディング・エンジニア内藤克彦

 NYジャズ・シーンを支える人々の、インサイダー・ストーリーでもある、レコーディング・エンジニアのインタビューは、今まで、ベテランのデヴィッド・ベイカーから、中堅ともいえる40代始めのマルコム・ポラックらを取りあげてきた。今回は、90年代からジャズ・ミュージックの録音を中心に、幅広く活躍する若手の内藤克彦に、スポットを当ててみたい。
 内藤克彦は、ここ数年めきめきと頭角をあらわしているオーディオ・エンジニアである。99年に発表された、カーラ・クック(vo.)の "It's all about love" (米盤 MAXJAZZ)は、2000年のグラミー賞ジャズ・ヴォーカル部門に、ノミネートされ、昨年は、アル・ディメオラ(g)の、オーケストラを含む大作 "リベル・タンゴ"(Telarc/ユニバーサル)でも、録音とミキシングを手がけ、まさに今、脂がのっているエンジニアの一人だ。
 この日は、春にMAXJAZZからリリースされる、ラヴァーン・バトラー(vo.)のセカンド・アルバムを、レコーディング中の彼を訪ねた。
  82年に日本で高校卒業後に渡米し、バークリー音楽院(現・音楽大)のミュージック・プロダクション&エンジニアリング科に、留学した内藤は、卒業後、ボストンのスタジオで、ハウス・エンジニアとして勤務する。機械いじりと音楽が好きで、双方を併せ持つ仕事ということで志したオーディオ・エンジニアであったが、留学中にジャズ・ミュージックと、本格的に関わり始め、またハウス・エンジニア時代には、様々な音楽を手がける。内藤は90年に、ジャズ、アコースティック・ミュージックの、録音技術をさらに探求して、NYに進出した。デヴィッド・ベイカーや、ジム・アンダーソンらのアシスタント・エンジニアを務め、トラディショナルから、コンテンポラリー・ジャズまで、多くのレコーディング、ミキシングを手がける。ベイカーとの、師弟関係は今も濃密で、メデスキー、マーチン&ウッドなど、多くの共同作業を手がけている。このインタビューの日も、たまたまスタジオにマスター・テープを取りに来たベイカーが、内藤の仕事ぶりを見守っていた。93年より、メイン・エンジニアとして、コロンビア、ブルー・ノートなどのメジャーから、アメリカ、ヨーロッパのインディ・レーベル、キング・レコード、キーストーン ら日本のレーベルの、多くのアルバムにクレジットを連ねている。
 
  内藤克彦の創り出すサウンドは、ベイカーゆずり繊細さと、ジャズ・レコーディングの伝統である骨太なパワフルさが、絶妙なバランスで同居し、さらに若い世代ならではの幅広い音楽の嗜好が、柔軟な音楽への対応を可能にしている。同世代の、ミュージシャンからの指名で手がけるレコーディングも多く、サム・ニューサム(ts.)や、マイルス・グリフィス(vo.)、ブルース・バース(p)のアルバムは、数枚に渡って手がけ、絶大な信頼を得た。内藤のキャリアでターニング・ポイントともいえる作品は、アル・ディ・メオラの最新作、" リベル・タンゴ"であろう。 ストリングス・オーケストラや、複数のパーカション・プレイヤー、ディメオラ自身のギターの・オーヴァー・ダビングなどの、多くの録音素材を、スタジオで、ディメオラとのコラボレーションにより、再構築し作品に仕上げるという、ミキシングに1週間を費やしたジャズでは長期間のプロジェクトは、内藤の中に大きな手応えを残した大作だ。「アル・ディメオラは、ソロ活動のほかにもリターン・トゥ・フォーエヴァーや、スーパー・ギター・トリオなど、私らの学生の頃、一世を風靡したプレイヤーだからね。そんな彼の、妥協をいっさいしない完璧なミュージシャン・シップに触れ、自分もベストなものを提供し、大いに啓発されたよ。個人的には、ジャズのトラディショナルなレコーディング・スタイルである、2チャンネル・ダイレクトのスタジオ・ライヴ録音が、サウンド・ドキュメントという意味において、好きなんだけれども、この作品は、その対極にあるんだよ。しかし、じっくりと作りこむことによって、明らかになってくるミュージシャン自身のステイトメントに触れて、感銘を受けた。こういうプロジェクトも、もっと手がけていきたいね。」内藤は、語った。
 ジャズのインディペンデント・レーベルの、録音も多く手がけている内藤だが、90年代におけるNYの、インディ・ミュージック・シーンについて、訊ねてみた。「もちろんディ・メオラの新作のような作品は、レコード会社の後ろ盾がないと不可能だけど、例えば2チャンネル・ダイレクトや、ライヴ録音であれば、個人レベルでもクオリティの高いものを制作することは、出来るわけだ。そこから、リスナーに届く過程において、レコード会社なり、レコード店なりが必要だったわけだけど、今や、インターネットの普及によって、リスナーが、自分の好みの音楽を探して、直接手に入れることが、可能になってきた。結局、メジャー・レーベルのヘルプが必要なのは、一部のミュージシャンだけであって、ミュージシャンが、自分の追求する音楽を作品にして、それが嗜好に合うリスナーの手元に届けることが、成立するわけだ。この状況の中でやはり問われるのは、個々のミュージシャンのクオリティであり、インディ・ミュージック・シーンにおいても、自然淘汰が進行しているのが、現在の状況だと思う。ジャズのように、リスナーの好みが大きくわかれる音楽は、今後インターネット上の通販でCDや音源を買うというスタイルが、もっと大きくなってくると思うし、私もその中で、クオリティの高い作品制作に参加していきたいと思っている。」 内藤克彦の今後なさらなる活躍に、期待したい。 
 (12/16/00 於Sound on Sound recording Studio NYC)

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内藤氏ご本人の投稿記事もご紹介します。

主にアル・ディ・メオラのアルバム「Consequence of Chaos」の制作秘話が記載してあり、
とても楽しく拝見しました。
ピアノにチック・コリアをいきなりゲストで録音、
ドラムにスティーブ・ガッドをいきなり頼んで録音、
神様ボブ・ラドヴィックの超過密スケジュールに、マスタリングをねじ込んだり、
と制作過程が、生々しく記載されています。
転載させて頂きますので、興味のある方はお読みください。

http://www.archive.jazztokyo.org/guest/naitoh/v1.html



UPDATED 11.05.2006

2006年3月下旬のある日、自宅の留守電にメッセージが入っていた。
『アル・ディメオラだけれど電話をくれ』

♪ アル・ディメオラと6年振りに再会する

アル(註1)とは2000年に彼のアルバム『Grande Passion』(Telarc/ユニバーサル)の録音とミックスを担当して以来、その後会ったり仕事を一緒にしたりする機会はなかった。2004年にデイヴィッド・ベイカーが亡くなったことをメールしたのが最後か
もしれない。そもそもアルと出会ったのはデイヴィッドを介してだった。『GrandePassion』の録音の際、アルのニュージャージーの自宅スタジオをその録音のために手直しする必要があり、スタジオ・メインテナンスの経験のある私が呼ばれて録音を手伝った。デイヴィッドがベイシック・トラックを録音した後のオーバーダブなどを私が担当して気に入られ、そのままミックスまでさせてもらった。アルの音楽は緻密でしかもアイディアをどんどん膨らませていき、録音しながらもどんどんその姿を変えて作り込んでいく。しかもアルは完璧主義で気に入らないところは何度でもやり直すので、短気な上に細かいところより演奏の勢い(ライブ感)を大切にするデイヴィッドとは合わなかったのかもしれない。アルはその後2002年に『Flesh on Flesh』をフロリダで録音し、そのときの録音とミックスはあのロジャー・ニコルスだった。そのときに「一流どころは一流の人とやるんだな」と思ったことを覚えている。これでは私の出る幕はない。それから4年、デイヴィッドは既に故人となりアルも新たなCDを出さずに2006年を迎え、私もアルのことを忘れかけていた。

早速電話をするとアルの秘書スージーが出て「現在進行しているプロジェクトにエンジニアが必要らしい」とのこと、幸い彼女は私のことを覚えていてくれたようだ。アルは録音に掛り切りで電話に出られそうもないので、とりあえずニュージャージーの彼の自宅スタジオに出かけていって直接話をすることにした。私としてもこのチャンスを逃がしたくない。ブルックリンの自宅からマンハッタンを通り越してニュージャージーへ向かう。1時間ちょっとの運転で見覚えのあるニュ−ジャージー北部の高級住宅地につく。6年ぶりだが以前何度も通ったので体が場所を覚えている。アルの家はその界隈では珍しい地中海風だ。さすがイタリア系、センスが違う。家に入りスージーとキーボードのマリオ・パーミサーノと話をする。2人とも6年ぶりだが変わっていない。アルはもう一人のキーボードのバリー・マイルスと地下のスタジオで録音中だと言う。しばし旧交を深めつつアルが休憩に入るのを待つ。マリオより今回のプロジェクトの経緯を大まかに聞いていると、ついにアルが登場した。彼も6年前と変わっていない。私はここ6年でかなり体重を増やしてしまったのに、アルは相変わらず毎日シェイプアップに励んでいるのだろう。以前の録音の時からアルはどんなに締め切りが迫ろうと、毎日の運動とギターの練習を欠かさなかった。毎日の練習はジャズ・ミュージシャンなら当たり前かもしれないが、私にとってのアルはリターン・トゥー・フォーエバーの頃からフュージョン・スーパースターというイメージがあって、毎日の地道な練習などからはほど遠い人だと勝手に想像していた。それは勝手な思い込みで実は音楽に対してかなりまじめな人であった。

註1:アル・ディメオラ(Al Di Meola)
1954年7月22日、アメリカ・ニュ−ジャ−ジ−州の生まれ。ジャズ・フュージョン・ギターの第一人者。
1971年、バークリー音楽院入学。1974年、チック・コリアのリターン・トゥ・フォーエヴァーに抜擢され一躍人気者になる。ジョン・マクラフリン、パコ・デ・ルシアと「スーパー・ギター・トリオ」を結成、世界最高のギター・テクニックを誇る3者の高度で華麗なインタ−プレイはギター・ファンを魅了した。

♪ 新作の録音に急きょ参加する

この『Consequence of Chaos』(Telarc/ユニバーサル 註2)のプロジェクトは1月くらいに始まったらしい。もっともこのタイトルがついたのはもっと後の話で、3月下旬のこの時点ではアルバム・タイトルどころか曲名も決まっていなかった。ニューヨーク郊外の“クラブハウス”というスタジオで彼の当時のツアーバンド(マリオ・パーミサーノ=ピアノ&キーボード、ヴィクター・ミランダ=ベース、アーニー・アダムス=ドラムス)と共に4曲がリズム録音され、もう2曲がバリー・マイルスと共にアルの自宅スタジオでレスター・ロヴェルのエンジニアによって録音中であった。この2曲は打ち込みなので、バリーがサンプルやシンセの重ね録りをしていた。アルが言うには、「さらに4曲録音する予定なのだが予定が大幅に遅れていて、このままでは5月1日の納品に間に合わない。しかも4月の上旬には10日間の日本ツアー(ブルーノート)が入っていて、その間は作業ができない。何か良い方法はないだろうか?」 『Grande Passion』の時にはミックスだけで1週間かかったというのに、まだ録音に取り掛かっていない曲が4曲もあるとは! 幸いにもアルはこのプロジェクトからPro Tools HDを導入しており、私のシステムをアルの家に持って来ることによって、とりあえず今進行中の2曲はレスターが続けて、同時進行でクラブハウス録音の4曲に私がマリオのキーボードをダビングすることになった。アルの家は日本で言う豪邸のように広いので、地下のスタジオでの作業を邪魔することなく1階のリビングルームの片隅に、にわかスタジオをセッティングできる。私はジャズクラブなどでのライブ録音をかなり経験しているので、このような状況での録音はお手の物である。ある程度まではこの同時進行で予定をこなすことができたが、レスターの都合などもあり、プロデューサーであるアルは一人しかいないということもあって、結局私が中心になって録音を続けることとなった。最初から私が関わっていればもう少し時間配分ができたのだが、今更仕方がない。アルにそのことを言うと「最初にカツ(わたし)に連絡しようと思ったのだけれど、電話番号が見つからなかったから。やっと誰かに聞いて番号が判ったんだ。」と、こんなところはミュージシャンである。


註2:『Consequence of Chaos』
『コンセクエンス・オブ・カオス』(Telarc/ユニバーサル)は、アル・ディメオラの最新作。2006年9月ユニバーサル・ジャズよりTelarc第5作として直輸入盤仕様で発売(UCCT-1169 税込\2,548)。
1.サン・マルコ(モデルナ)2.タークォイズ 3.オデッセイ 4.タオ5.アズカール 6.サンクチュアリ 7.ヒプノーズ 8.レッド・ムーン 9.アズカール〜デュエット(クライ・フォー・ユー) 10.ジャスト・スリー・ワーズ 11.テンペスト 12.ストーム・オフ・ショア 13.ブラック・パール 14.アフリカン・スィート 15.サン・マルコ(ヴェッキオ)

♪ 3拍子から4拍子へ <サン・マルコ(モデルナ)>

アルの自宅スタジオはギター、キーボード、パーカッションなどの録音はできても、ドラムスと一緒のリズム録りにはちょっと狭すぎる。新曲のうちの一曲はベネット・スタジオにて録音することになった。メンバーはマリオ、ヴィクター、アーニーに加えてパーカッションのグンビ・オーティツである。この曲、CDの1曲目の<SanMarco (moderna)>は私が最初から関わった中の一曲であるので、ここにその内幕を紹介しよう。ベネット・スタジオはニュージャージーのイングルウッドにある。かのトニー・ベネットの息子のデイ・ベネットが経営するスタジオである。我々は3月29日の晩に機材を運び込み、セッティングを開始した。晩のうちにサウンドチェックまでして次の30日に録音並びにダビングなどをする予定であった。サウンドチェックをしてリハーサルをしていたがアルは何かしっくりこないようだ。この曲はその時点では<Venice>という仮タイトルだったが、3拍子の割合と軽い感じの曲であった。そして次の日昼前にスタジオに来たアルは、「一晩考えたがアレンジを全面的に変更する。4拍子にしてループを使う。」なんとこれではメロディーは同じでもほとんど違う曲である。それからしばし私とマリオで、ループを曲に合わせる作業をする。ループにベース・パートが含まれているので、コード進行に合わせてループを直したり、4分の2拍子のところでひっくり返らないようにする。生のドラムが曲の中程まで出てこないので、アコースティックのリズムギターとピアノを先に入れてしまう。アルのお得意のアコースティック・ギターとピアノのユニゾン・メロディーはピアニスト泣かせである。微妙なフレイジングやアクセントまですべて同じにしなければあのサウンドは出てこない。エレクトリック・ギターのメロディーを入れると曲が見えてきた。ここまでの作業は実はアルの自宅スタジオでもできるものであった。しかしアルにとっては、その瞬間のアイディアが何よりも優先するのである。予算に縛られているジャズの録音とは大違いである。そして自分のアイディアを試すのにかなり我侭(わがまま)になれる。しかしながら試してみて良くない時には直ちに撤回できる潔さも持ち合わせている。夜も遅くなってやっとアーニーのドラム、グンビのコンガ、ヴィクターのベースを入れ終わった。なんとか予定通りである。3拍子のバージョンは4月も下旬になって<San Marco (vecchio)>として別に録音された。(CDの15曲目)ちなみにmodernaとはイタリア語で“新しい”、vecchioは“古い”の意である。

♪ ミックスはPro Toolsで行くしかない

次の日アルとこのあとのスケジュールについて話す。5月の納品に間に合わせるためのアイディアが私にはあった。ミックスをPro Tools内で行うのだ。私はここ4年ほどマンハッタンのアヴァター・スタジオ内に自分のスペースを借りていて、そこでPro Toolsを使ってミックスとマスタリングをしている。元々予算の限られたジャズの仕事を、低予算で良いクオリティーに仕上げるための自分の部屋であった。そこはスタジオというにはあまりにも狭いが、今私ができる範囲で最高の機材を入れて、より良い音を追求している。先日このサイトの及川公生さんのコラムで紹介して頂いた佐藤慎一のCD『Le Freak』(What’s New/ポリスター)もこの部屋でミックスしたプロジェクトである。その他にも『オーケストレーションで聴く韓流ドラマ・ヒーリング・コレクション』(HIYO/TBSサービス)などの日本のプロジェクトや、ラッセル・マローンの新譜『Live at Jazz Standard Vol.1』(MAXJAZZ/ディスクユニオン)などたくさんのCDをこの部屋でミックスしてきた。コンピュータ内部でのミックスには賛否両論あるが、限られた予算でベストの結果を出すのには良い方法だと思っている。
本来ならアルのミックスは相応のスタジオでアナログの卓を通してミックスしたかった。6年前の『Grande Passion』のミックスは私の希望でニーブの卓で行っている。しかし今回は時間がない。アナログ卓でのミックスをするにはすべての材料を録音してからでないとミックスが始められないし、ミックスの直しにはすべてのセッティングをし直さなければならない。トータル・リコールなど便利にはなったが、アウトボード・ギアの設定など不確定要素が多いし、だいたいスタジオのスケジュールに縛られてしまう。このところニューヨークの大手スタジオは数が減ったこともあって、予約が入れにくい状況になっている。コンピュータ内部でミックスすれば、確実にしかも瞬時にリコールができるし、自分の部屋なので予定がたてやすい。アルが4月3日から日本にツアーに行っている間に今出来ている曲だけでもミックスを初めて、細かいところは後で直せばいい。新たなパートを録音したとしても、ミックスを1からやり直す必要がないし、今回の状況にはぴったりである。というよりもこれ以外に〆切に間に合わせる方法はないと言えた。アルは仕上がりのクオリティーに懐疑的であったが、他に方法がないのでゴーサインが出た。

♪ ゲストにチック・コリアが登場

アルがツアーに行っている間にミックスを進める。ロジャー・ニコルスによる前作『Flesh on Flesh』などを参考にして音作りをする。アル本人がいないので、自分の好きなようにできて比較的楽な作業だ。自分がベネット・スタジオで録音した<SanMarco (moderna)>、クラブハウス録音の4曲(<Tao><Hypnose><Red Moon><Tempest>)、アルのスタジオで作り込まれた2曲(<Turquoise><Azucar>)とループをバックにギターを弾いただけのインタールードの4曲と合計11曲を8割方仕上げる。どうせどの曲も録音が全部すんでいないのでこの時点で100%にしても意味がない。アルが日本から戻り、途中経過のCDを渡す。次の日、試験の結果発表を待つようにドキドキしてアルのスタジオに向かう。さて結果は、どうやら合格だったようだ。基本的な線はOKで細かいところの変更を曲ごとに箇条書きにしてリストを作っていく。同時に今後の細かい予定の打ち合わせをする。なんとアルはゲスト・ミュージシャンを予定していた。その内の一人チック・コリアの録音は、彼がブルーノート出演のためにニューヨークに来ていた時に、アルの自宅スタジオで行われた。アルもチックと会うのはリターン・トゥー・フォーエバーのリユニオン以来だそうでなつかしそうだ。チックをスタジオに案内して曲の打ち合わせをする。チックに頼んだのは2曲、アルとのデュエット曲<Cry For You>と<Red Moon>のピアノソロだ。<CryFor You>は<Azucar>のデュエット・バージョンである。チックはリハーサルをしながら譜面を自分用に書き直して万全の体制で録音に望む。リハーサル・テイクの後、本番一発でOKである。二人の息がぴたりと合った一瞬であった。<Red Moon>の方はチック得意のラテン風のコード進行でこれも本番は一発である。さすがチック、ツボは外さない。これほど大物のミュージシャンならばピアノや調律にうるさくて当たり前なのだが、チックは機嫌良くアルのベイビーグランド・ピアノを弾きこなしていた。プロである。チックが帰った後、アルは『キースだったらピアノを見ただけで、弾かずに帰っただろう。』と私と二人で大笑いした。CDを聴いていただければわかるかもしれないが、ピアノの音自体はコンサートグランドのような音ではない。しかし演奏内容はすばらしい。これも故デイヴィッドやアルから学んだことだが、楽器や機材は良いにこしたことはないが絶対ではなく、良いミュージシャンやエンジニアはどんなものを使っても一流の音を出すことができるはずだ。私はまだそこまで行っていないが、行けるようになりたいものだ。

♪ 緊張したスティーヴ・ガッドの録音

チックとの共演に触発されたアルから、更なるアイディアが生まれる。新曲をスティーブ・ガッド、アンソニー・ジャクソン、バリー・マイルスのリズム・セクションで録音するという。スティーブ・ガッドにオーバーダブを頼む話は以前からあって、どうせベネット・スタジオに行くのならベースとピアノも呼んで新曲を録りたいというものだ。結果から言うとこのドリーム・セッションは実現しなかった。すでに<Africana Suite>と<Black Pearls>の録音が済んでおりCDには充分な曲数ができていたし、アンソニーのスケジュールがとれず、ジョン・パティトゥーチに変更になったことも理由の一つであるが、一番の理由は作曲が完成しなかったことだ。この曲は次のCDまでお預けとなった。新曲はできなかったが、ジョンのベースとスティーブのドラムを<Azucar>に重ねて、さらに<San Marco (moderna)>にもマーチング・スネアを入れる。私が初めてスティーブの名前を覚えたのは25年以上も前の高校生の頃で、この超有名セッション・ドラマーを録音するのはかなり緊張した。さて結果は、これはCDを聴いて判断していただきたい。

♪ 神様ボブ・ラドヴィックのマスタリングに立ち会う

もう一つ私にとっての初めてがあった。マスタリングをあのボブ・ラドヴィック(ラディック)に頼むというのだ!アルはボブとは長い付き合いらしく、彼の超過密なスケジュールに自分のマスタリングを押し込んでもらったらしい。マスタリングもしている私にとっては神様のような人である。クラシック、ジャズからヘヴィーメタルまでジャンルを問わず非常に高いレベルでこなしてしまう。私がLPを聴き始めた30年近く前にすでに多くのレコードに名を連ね、今だに第一線で活躍しているのは驚きである。そのボブに自分のミックスをマスタリングしてもらえるのは至福の喜びである。ボブの都合でマスタリングは5月4日と決まる。レコード会社もこのくらいの遅れは了解したようだ。あとはボブをがっかりさせないようなミックスをするだけである。結局私の部屋とアルのスタジオを行き来して、ミックスを終えたのはマスタリングの前日の晩遅くであった。

私はどうしてもボブに会いたかったので、ハードディスクを持って彼のスタジオのあるメイン州ポートランドへ運転して行くことになった。ニューヨークより北に向かって6時間ほど、途中で2時間ほどの仮眠を取り朝の9時にはゲイトウェイ・マスタリング・スタジオについた。ボブのアシスタントにハードディスクを渡しラウンジで待っていると、約束の10時よりかなり前にボブが現れた。緊張している私にボブはスタジオ内を案内してくれて、最後に彼のマスタリング・ルームに入った。「なんと広い!」これが私の第一印象である。今までいろいろなマスタリング・ルームを見せてもらったが、こんなに広い部屋は初めてだった。しかも音が良いのである。他のスタジオで今までこんなに良い音を聞いたことがなかった。これまではマスタリングに立ち会っても部屋になれていないこともあって、エンジニアが良しとするならこれでいいのかな?という感じで積極的に良い音だとは思わなかった。ボブのスタジオは音が出た瞬間に「これはすごい!」と圧倒された。しかもボブは仕事が速い。10時くらいから初めて15曲を片っ端から片付けていく。ミックスが押したこともあって、ボブのところにはデータが届いていなかった。この日聴くのが初めてなのである。途中小一時間の昼食を挟んで3時くらいには15曲すべてのマスタリングが終わり、曲間のスペースを決める段階に入っていた。やっつけ仕事という感じはみじんもなくすばらしい仕上がりだった。リファレンスのCDを作ってもらっている間に、ボブと少し話す機会があった。故ベイカーの話やアルの昔のマスタリングの話、メイン州に引っ越した話などどれも興味深いものであった。最後に彼の部屋で自分のマスタリングしたプロジェクトを聴かせてもらうことができた。前出の『韓流ドラマ・ヒーリング・コレクション』の1曲目、ギル・ゴールドスタインのアコーディオンがフューチャーされている曲である。さすがにこんなすごいシステムで聴くと少しアラはあったが、一応狙い通りのサウンドだったので安心する。巨匠はお返しになのか彼の最近のサラウンド作品スティーブ・ライヒの1曲を披露してくれた。ステレオの定位感もすごかったが、サラウンドもまたすばらしかった。個人的にはサラウンドに疑問を持っていたのだが、良い装置で良い録音を聴くとなかなか心地よい。4時半にはリファレンスCDも出来上がり、ボブに別れを惜しんで帰路につく。

♪ サラウンド・バージョンにも納得!

これですべてが終わったわけではなく、その後いくつかの細かい変更やリミックスを経てCDは完成した。私にはさらにサラウンド・ミックスをするテラークのチーフ・エンジニア、マイケル・ビショップのためにファイルを準備する仕事が残っていた。マイケルとeメールのやり取りをして、彼がサラウンド・ミックスをしやすいように、またソロのテイクなどの間違いがないようにトラックを整理する。このCDは実にサラウンド向きだとも言える。様々な楽器のパートが出たり入ったりするアレンジはサラウンド・ミキサーに独創性を要求しているかのようだ。そしてマイケルは実に興味深いミックスをしてくれた。マイケルがアヴァター・スタジオに別の仕事で来ていた時に会って話す機会があり、彼のハードディスクに残っていたサラウンド・ミックスを聴かせてもらうことができた。サラウンドならではのワイドな音場とダイナミクスには、サラウンドに懐疑的だった私もうなづかざるを得ない。これをボブのマスタリング・ルームで聴いたら最高なのだろう。興味のある方はSACDのサラウンド・バージョンで味わっていただきたい。ハイブリッド・ディスクでCDレイヤーに私のステレオ・ミックスも入っているので、そちらの方もお聴き逃しなく。



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大分話がそれてしまいました。
長文お許しください。

アコリバさんのおかげで、
聴く音楽ジャンルが広がり、
且つ、高音質、美音で、聴ける幸せを味わえるようになりました。

今回、特注スピーカー・インシュレーター + RIQ-5010で、
更に素晴らしい音で聴けるようになりました。

Kさん、いつも微に入り細に入り、ご対応頂き、誠にありがとうございます。
RANZAN
投稿日時: 2020/4/14 12:29
長老
登録日: 2008/2/16
居住地:
投稿: 3265
Re: スピーカー用特注インシュレーター + RIQ-5010

モリアーさん
  こんにちは。

スピーカーはその足(写真)から推測するとB&Wで「フロア・スパイク・キット」仕様だと
思います。
有機的で滑らかなRIQ-5010を使った、これまでにないアイデアが生かされた特注インシュレーターを
依頼されたのですね。

音質効果については、トランペットの金管楽器が美しく勇壮なイメージで素晴らしい音と
いうことですが、今後試聴されて他の楽器の特色の感想もお聞かせください。

耐震については、これからは外れて転倒する心配は無いでしょう。



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