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   [00-06]アナログレコード
     Garrard 401のレストア&ファインチューニング記
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投稿者 スレッド
zappa1993
投稿日時: 2015/6/21 10:06
長老
登録日: 2011/3/17
居住地:
投稿: 1916
Garrard 401のレストア&ファインチューニング記
皆さん
おはようございます。

私がアナログを始めてから2か月ほどが経ちますが、未だに確立した音を出すことが出来ず、悪戦苦闘(勉強)の毎日です。
最近は、新規にアナログを始めるための書物が多く出版されていますし、ターンテーブルやフォノイコライザー等の製品の発売も後を絶たないところを見ると、本当にアナログというものが見直されて来ているのかも知れません。
中古レコードショップ巡りをしていましても、年齢を問わず多くの人を見かけますし、海外の通販サイトに目を向けると非常に豊富な知識と量に驚かされます。

私が使用しているターンテーブルはGarrard 401といいまして、30年以上前のイギリスの製品ですが、シンプルな作り故、未だに現役で使える状態を維持しています。
このターンテーブルを使用するにあたり、多くの書籍やブログ等を見ましたが、未だに多くの方が愛用されているのが分かりましたし、レストアの方法等参考になることが多かったです。
また、現代の製品と比べると古びて見えるこのターンテーブルの性能の良さについても知ることが出来、何とか良い音で再生してみたいと思うようになりました。
私が手に入れたGarrard 401も前オーナーがとても大切に使用してこられたもので、年数を考えれば非常にキレイな状態でしたし、錆や汚れなども殆どありませんでした。
50Hz用のプーリーであった為、60Hz用のプーリーに交換する作業から始め、最終的にはスピンドルシャフトの注油・研磨、モーターの分解清掃を経て現在に至っています。(今後は配線の見直しとキャビネットをどう工夫するかというところです)
最初はプロのお店にレストアをお願いしようかと思いましたが、今後もずっと使い続けていくことを考えると、定期的なメンテナンスは不可欠ですし、機械の構造にも興味がありましたので、すべて自分で行う事にしました。
もちろん、いきなり分解する様なことはせず、事前に色々と下調べをし、道具やオイルなども専用のものを用意して、万全の態勢で臨んでいます。
(色んな意見や情報がありますから、決して一つを鵜呑みにせずに、時間をおいて同じ情報源を3順くらい読み直すくらいの気構えが大切です)

私が、自分でレストアをしようと思ったもう一つの理由は、製造から既に30年以上が経過し、使われているパーツ等の経年変化により機器本来の性能を発揮できていないと思われるこのターンテーブルを蘇らせ、更にファインチューニングを施して現代のターンテーブルにも負けないクオリティに仕上げてみたいと思ったからです。
ファインチューニングと言いましても、機器そのものへの改造では無く、使用するオイル・ネジやワッシャー類の吟味、加工精度の追及、アコリバ製品を使った制振・導通の調整、そしてノイズ対策等が主で、Garrard 401の性能を最大限発揮さすための工夫とお考えいただいた方が分かり易いかもしれません。

本来、この掲示板に書くような事では無いかもしれませんし、私もそれを目的としてレストアに臨んだわけではありませんので、事細かく説明できるかどうか分かりませんし、現状確認用にとった写真しかありませんが、私自身が他の方のブログ等を読んで参考になることが多かったですし、私の拙い文章でも誰かのお役に立てればと思い掲示板に投稿することにしました。
とは申しましても、どの様な流れで書いていくかはまだ頭の中にありませんので、書きながら方向を決めていきたいと思います。
また、スレッド名は『Garrard 401のレストア&ファインチューニング記』としましたが、アナログ全般に関することも合わせてこのスレッドに書き溜めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
zappa1993
投稿日時: 2015/6/28 12:21
長老
登録日: 2011/3/17
居住地:
投稿: 1916
Re: Garrard 401のレストア&ファインチューニング記
皆さん
こんにちは

Garrard 401のレストア記を書く前に、気が付いたことを忘れない内にまとめておきます。(他のアナログプレーヤーにも参考になるかも知れません)

レストアやセッティング調整の為、しばらくの間プレーヤーを床に置いていまして、酷いハム音に悩まされていました。
通常の音楽を聴くボリューム位置でもハッキリとハム音が聴こえ、私はこれを床への直置きと、アームに付属する長いフォノケーブルのせいだと考えていました。
Garrard 401はターンテーブルのみの販売で、キャビネットは別に用意する必要があるのですが、私のプレーヤーはターンテーブルをはめ込む穴の開いた板に脚を取り付けた格好になっており、シャーシーより下の機械部分が丸見えになっています。
箱型のキャビネットは内部が共鳴し易いため、今後もこの形を基本として使用していくつもりですが、脚の下には取りあえずアルミ合金とQR-8を組み合わせたインシュレーターを使っています。

プレーヤーは管球式アンプの近くに置いているのですが、ある時プレーヤーを90度右に回転させて置くとハム音が収まるのに気付きました。
アームは向かって左奥についていまして、90度右に回すことで右奥の位置になります。
左奥の位置の先には左チャンネル用の管球式アンプのパワー管が並び、右奥の先は右チャンネル用の同アンプのトランスが位置します。
ハム音の原因は、アームが真空管のノイズを拾っていたのです。(フォノケーブルの位置を変えたくらいではハム音に変化はありませんでした)
真空管のノイズについては深く考えたことがありませんでしたが、微細な出力電圧であるフォノ信号にとっては大敵だったようで、フォノケーブルの取り回しだけでなく、その他の機器やケーブルについても、ノイズの影響を受けていないか設置位置等の検証が必要だと感じました。
無音のままボリュームを上げていきますと、まだハム音はありますが、通常の範囲内だと思いますし、ハウリングも起こりません。
ハム音が乗っていた時と比べると、明らかに音の分離や分解能が良くなりましたし、当然S/Nの良さが如実に感じられます。
また、奥行きや定位といった空間表現が豊かになりましたが、これはノイズ成分が減ったことにより、正確なステレオイメージが形作られたからだと思うのですが、アコリバの製品を導入した時に感じられる変化と同様のものを感じました。

上記とは別に、プラッターを外した状態でモーターを回し、アームをセンタースピンドルより向こう側に持って行くとSPからハム音が聞こえますが、これはカートリッジがシャーシー下部にあるモーターのノイズを拾っているためだと思います。
(流石によく考えてあり、ダブルアームにしてもレコード再生中にカートリッジがモーターの上部を通過しない位置にモーターが取り付けられています。ただし、サブアーム取り付け位置に近いため、メインアームの方が音質的には有利なはずですが、裏を返せばアーム一本で使う場合に最もモーターノイズの影響を受けないように設計されているという事なのかも知れません)
通常の使用においてはモーターノイズの影響は目に見えては無いものの、この部分のノイズ対策できっと音が良くなると思われます。



アナログの調整項目は多岐にわたり、アームの取り付け位置から始まり、高さ調整、水平バランス、オーバーハング、ラテラルバランス、インサイドフォースキャンセラー等、そしてカートリッジの取り付け位置や針圧の調整等しなければいけない事が沢山あります。
もちろんプレーヤーを水平に設置していることが大前提です。
現在はほぼ毎日色々な調整を繰り返していますが、ほんの少しの違いで音が変化しますので、難しい反面、突き詰めてベストな状態に持って行きたいという強いチャレンジ精神が芽生えます。
この辺りの事はアナログを実践されている方にとっては常識ですし、私がどうこう言う必要もないのですが、アナログの調整というと真っ先に針圧を思い浮かべるのではなく、アームの調整こそが肝なのだという事がよく分かってきました。
もちろん針圧調整も大切ですが、アームの調整とは別に考えないといけませんし、きちんと調整された土台の上の音の調子といった意味合いが強いのではないかと思います。(針圧より取付精度の方が重要?)
アームの調整については、どれ一つとして疎かには出来ないのですが、オーバーハングの調整は奥が深く非常に大切な項目だと感じました。
それとラテラルバランスも意外に音への影響が大きく、正確に合わす必要があるように思います。
アームの各調整機構には目盛り等で調整位置が確認できるようになっていますし、目視でもある程度の正確さは出せますが、なるべく専用の道具を使い、出来るだけ正確に合わせることが大切です。(例えば針圧などは、目盛りの数字と針圧計の数値が合うとは限りません)
アームの水平や高さ調整には、写真のような道具が便利です。



私はこれをAmazonで購入しましたが、キャビネットからアームの高さを測るのと、ターンテーブルに乗せてレコードとアームの水平を確認するのに使っています。
立てた状態で両端(横幅8cmほど)の高さが同時に測れますし、横にスライドさせて高さに変化がないか確認することも出来ます。
ラテラルバランスは単に目盛りがついているだけで、アバウトな合わせ方で十分だとアームの説明書に書かれていましたが、ゼロバランスを取った状態でアーム(キャビネット)を少し手前に傾けて、アームの流れを見ながら正確な左右のバランスを取った方が良いでしょう。
ひとつをいじれば、他の項目も再度微調整しなければなりませんが、そうして詰めていくとアナログ再生というものがやはり特別な存在であることが分かってきますし、その再生音には有無を言わさぬ説得力があります。

最後に、測定値を正確に合わすことはとても大切ですが、測定誤差を考慮し、数値にがんじがらめになるのではなく、コンマ数ミリの差は聴感を頼りに微調整していくことが大切だと思います。

※ 機器の違いによっても調整方法や最適値は異なります。
ケミ
投稿日時: 2015/7/20 15:57
長老
登録日: 2008/2/17
居住地:
投稿: 851
Re: Garrard 401のレストア&ファインチューニング記
zappa1993さん,こんにちは。

いよいよアナログ再生が始まりますか。しかし,その前にターンテーブルのレストアからとは本当に頭が下がります。

さて,私もハム音には悩まされました。アナログ導入当初は全く感じられなかったのですが,フォノケーブルの線材をPC-TripleC+FMに交換してから音楽の妨げになるほどのハム音でした。

私なりにさまざまな理由を考え,試行錯誤を繰り返しました。結論はバランスケーブルのアースの取り方でした。まだわずかにハム音はするのですがほとんど気にならなくなりました。

このアースの取り方も機材やその組合せによって異なるようで,こうすれば良いということではないようです。しかし,アコリバーケーブルは手作りであるため,あらゆる設定が可能です。

zappa1993さんからアナログレコードのすばらしさを絶賛する報告がある日を楽しみにしています。お互いがんばりましょう。

zappa1993
投稿日時: 2015/7/25 4:51
長老
登録日: 2011/3/17
居住地:
投稿: 1916
Re: Garrard 401のレストア&ファインチューニング記
ケミさん
おはようございます

レスありがとうございます。
スレッドを立ち上げたものの、音楽を聴いている時間が長いもので、中々投稿が進みませんが、近々続きを投稿させていただきます。

ハム音についての情報ありがとうございます。
アナログは機器の調整と、信号の取り回し等への配慮をシビアに行わないといけませんが、それに見合う結果がハッキリと表れるため、やり甲斐のある作業ですね。
フォノケーブルはバランス接続が良いとして、バランス接続を謳い文句にしたフォノイコライザーもありますが、ケミさんのところでもバランス接続の方が良かったでしょうか?
またお時間のあるときにお聞かせ下さい。

>zappa1993さんからアナログレコードのすばらしさを絶賛する報告がある日を楽しみにしています。お互いがんばりましょう。

アナログの素晴らしさは、日増しに感じております。
心の中では既に「絶賛」したい気分ですが、まだまだこんなものでは無いという、先を目指す気持ちが大きく、また期待もしておりますので、今は勉強の日々です。
次回お越しいただいた時は是非アナログもお聴きいただき、屈託のないご意見をお聞かせください。
しばらくはアナログ一辺倒でしたが、久しぶりにデジタルに戻ってみると、こちらもやはり良いところは沢山あります。
オーディオは奥が深く終わりがありませんね。
zappa1993
投稿日時: 2015/8/29 14:39
長老
登録日: 2011/3/17
居住地:
投稿: 1916
Re: Garrard 401のレストア&ファインチューニング記
皆さん
こんにちは

以前に、オーバーハングとラテラルバランスの調整は大切だというアナログを実践している方から見ればごく当たり前の事を書きましたが、決して針圧を軽視しているわけでは無く、針圧は最終的な音の調整としては有効ですし、僅かな違いで音の出方が変わるのは十分理解しております。
ただ、針圧調整による音の違いは好みの問題も多少は含まれているように思いますし(他の調整にそれが無いと言う訳ではありませんが)、まずはオーバーハング等のアームの設定をきちんとした状態で調整すべき機構という思いがあった為、あのように書かせていただきました。
決して針圧調整を疎かにしている訳ではありませんので、ここに捕捉させていただきます。
もう一点、オーバーハングの調整はオフセットアングルとセットで考えなければならないことも最近ようやく分かりましたので、オフセットアングルをどうするかという点も合わせて綿密な調整が望ましいと思います。

アームの水平や高さ調整にプラスチックの定規を用いていると書きましたが、以下のようにレーザー墨出し器も併用すると便利です。
元々はSPの位置調整用に購入したもので、レーザー距離計と合わせて大変重宝しています。



ラテラルバランスはキャビネットを傾けた状態でアームが床に垂直になるように調整します。
写真はSAECのWE-407/23というアームですが、SPUを取り付けるとラテラルバランス調整用の重りを最外部にしても合わないので、重しと制振の為QR-8をラテラルバランス用の重りに1つ貼り付けています。(この状態で重りを最外部よりほんの僅か内側に寄せた場所でラテラルバランスが合います。QR-8たった1個の重さでそれだけ違うのです)



アームの水平調整にもレーザー墨出し器は便利です。
レーザー光線自体の太さがありますので、厳密な調整には向きませんが、目視で確認できるメリットがあります。
写真ではアームの下側にレーザー光線が当たっていますが、目視で確認するにはアームの真ん中辺りよりも分かり易いために、墨出し器の高さを少し変えて、アームの上側と下側の2か所で確認しています。

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Garrard 401のレストアですが、実際に作業をしてから大分時間が経ってしまい、記憶が薄れてしまったのと、研究用に更に2台のGarrard 401を手に入れ、こちらの調整を今やっている最中ですので、その経過を随時書かせていただくことにしました。(これも買ってから1月ほど放置していました)
最初のレストアは、初めてということもありましたが、とにかく良い状態に仕上げるという思いが強かったために、入念な下調べと調整に時間を割き、モーターの清掃・調整だけでも3週間はかかりました。
今回は2度目ですので手順は心得ていますが、作業に手を抜くつもりはありませんし、文章にまとめるのもなかなか大変ですので、直ぐには投稿できないと思いますが、最後までよろしくお願いいたします。


まず、今回のレストアの目的を羅列しますと、

1.製造時期による音の違いの確認(初期モデルが良いという話はどこにでもあるものです)
2.レストア作業に慣れることで、メインのターンテーブルの今後の調整に生かす。
3.ネジやワッシャー等の金属、ブッシュ等のゴム、循環用オイル等の違いによる音への影響を調べる。(複数台あると比較が楽です)
4.ターンテーブル自体の個体差はあるのか。

と言ったものになりますが、同じGarrard 401でも過去の使用状況がまったく異なりますので、状態はバラバラです。
先に最重要点を書きますが、Garrard 401の様な古いターンテーブルは如何にきちんとしたレストアを施すかという点が、もっとも重要で、どのように使用されたか分からない中古品をそのまま使う(オイルを挿すだけでも同様)ことは本来の性能を発揮しないばかりか、ターンテーブルの寿命を縮めてしまう恐れがあります。
レストア済みの中古品を手に入れるか、レストア代金も考慮して中古品を探されるのが良いと思います。


今回は、簡単な所からスピンドルシャフトについて書かせていただきます。
スピンドルシャフトは、周りにある3本のねじを緩めることで簡単に取り外しできます。(裏側のナットとの間に金属ワッシャーがありますので無くさないように)



工業製品ですが、長年使用されてきたものですので、見た目も状態も違いますし、製造時期による微妙な違いも見て取れます。
(写真右が中期頃のモデルから取り外したもので、写真左はメインと同じ後期のモデルのものです。 ※以下同じ)



次に、スピンドルシャフト下部にある2本のネジを外し、底からシャフトを抜きます。
左側のものからは粘度の高いオイルが出てきましたが、右側のものはオイルが切れているように見えます。(シャフトのお尻とスラストパッドに見える黒い汚れは、金属の摩耗によるものです)
この状態を見ると、左側のターンテーブルの方が丁寧に使用されてきたように見えますし、私も最初はそう思いました。(メインと製造番号が近い事もあり、もともとこちらのターンテーブルはサブ用にと考えて購入しました)
しかし、品質の悪いオイルが使われていた為か、シャフトには変なまだら汚れ(一部凸凹もあり)があり、スラストパッドとの接点も中心から僅かにずれています。
スピンドルの内部も粘性の高いオイルがへばりついており、添加物の入った自動車用のオイルか何かを使われていたのではないかと思います。









レストア作業は以下の手順で行いました。

1.毛羽立たない布で全体を拭く(私はワイプオールという不織布ワイパーを使用しています)
2.パーツクリーナーで清掃(ホームセンターやカー用品ショップで手に入るものです)
3.液体コンパウンド等でシャフトを磨く(磨き方については後述)
4.再度パーツクリーナーで汚れを落とし、無水エタノールで洗浄(錆の原因になりますので水で洗うのは避けた方が良いと思います)
5.シリコングリスをシャフトとスラストパッドに多めに付けて一旦組み上げ、慣らし運転をする(時間に決まりはありませんが、私は日を分けて10時間程度行いました)
6.再度きれいに洗浄し、こんどは実際に使用するオイルを入れて慣らし運転をする(これも6番と同じくらいの時間)
7.再度きれいに洗浄して、オイルを入れて組み上げる。

慣らし運転後にシャフトに擦れた痕等がある場合は、極細かい液体コンパウンドで磨き上げ慣らし運転を再度行います。

3番のシャフトの磨きが一番難しいところで、不用意に力を入れて偏った磨き方をするのは厳禁です。(逆に磨き傷が残ります)
ワイプオールなどの布にコンパウンドを付け、優しく時間をかけて光沢が出るように磨いてください。
また、目立ったキズ等が無ければ、柔らかい布で丹念に磨き上げるだけで良いと思います。
コンパウンドやヤスリには、目の細かさや形状により多くの種類がありますが、一つのもの済ますのではなく、目の粗いものから目の細かいものへと順番に用いる方が綺麗に仕上がります。(今回は目の粗いものは使いません)
とは言え、表記方法に統一性が無いこともあり、買ったコンパウンドにどれ程の研磨力があるのかよく分かりませんので、写真にあるような光沢のある金属板を実際に磨いて傷のつき具合で判断するのが良いと思います。
写真の例で言えば、真ん中の研磨フィルム(#4,000)が最も傷つきやすく、次いで、左のシリカコンパウンド、右のアルミナコンパウンドの順となりました。(2番と3番は大差なく、シリカとアルミナの違いはそれ程ないようです)
写真には写っていませんが、最終的には超極細と書かれた鏡面仕上げ用のコンパウンドを用いました。
研磨フィルムは使いやすく、もっと目の細かいものもありますが、フィルム自体にある程度の硬さがあるため力が入りやすいという欠点(利点?)があります。



5番のシリコングリスにはごく僅かながら研磨作用があるということをネットで見ましたので、最後の磨き作業と内部の汚れ除去を兼ねて使いました。
スピンドルシャフトの裏蓋についているパッキンにもオイル漏れを防ぐためにこのシリコングリスをしみ込ませました。(定評のある信越シリコーンのG40Mを使用)

6番の慣らし運転も、内部洗浄と実際に使用するオイルを馴染ますために行っています。

上記の手順の中に書き忘れましたが、スピンドル内とシャフトのお尻も目の細かい液体コンパウンドで軽く磨いて汚れを落としています。

こうしてみると、何とも手間のかかる作業に見えるかもしれませんが、大切な機器のレストアであることと、良い状態で使用すれば良い音になるに違いないという思いで作業していますので、苦になることは全くありません。(モーターの調整に比べれば訳ありません)



これは慣らし運転前の写真ですが、特に左側のシャフトがキレイになっているのがよく分かります。

次は、折角ですので、スピンドルシャフトによって音の違いがあるかについて実際のレポートを書かせていただきます。
ケミ
投稿日時: 2015/8/30 10:38
長老
登録日: 2008/2/17
居住地:
投稿: 851
Re: Garrard 401のレストア&ファインチューニング記
zappa1993さん,こんにちは。

アナログのみならず,デジタルでも一つとしておろそかにしていいところなどありません。手を抜けば必ずそこに齟齬を生じ,気になって仕方ありませんし,音楽を楽しめなくなってしまいます。それは多くの方が承知していることと思います。

そのことよりも,zappa1993さんの取り組み方がすごすぎて,唖然としています。レストアもここまでくるともう素人の領域ではありませんね。本にできそうです。

話が遅くなってしまいましたが,バランス接続のメリットについては微妙かなと思います。私のシステムで直接比較をしていませんが,メリットは感じませんでした(この作業の時点ではあまり心にとめていなかったですが・・・)。

後に詳細は別スレッドにて述べさせていただきますが,今後導入しようと考えている昇圧トランスで,昇圧トランスの重要性を再確認できました。トランスを使うとなまってしまうといわれますが,それはトランスの精度に問題であったようです。ましてやそのトランスの二次側だけではありますが,PC-TripleCが使用されているとなればその効果が半端なかったです。

最近期せずして国産P社のアナログ試聴会に参加する機会がありました。そのなかでアンバラ接続か,バランス接続かという比較試聴がありました。しかし,バランス接続は昇圧トランスを介しての接続(この会社も昇圧トランスにバランス接続できるようにしたためか?)で,昇圧トランスの効果のためか,バランス接続が効果あるのか判断できませんでした(昇圧トランスを用いたバランス接続のほうがよかったです)。

MCカートリッジを使用する際にはいずれかの方法で昇圧しなくてはいけませんが,フォノイコのヘッドアンプ等で昇圧するよりも,精度の高い昇圧トランスを用いること(今後導入予定)がベストであると私は結論を得ました。

この昇圧トランスはアンバラ接続になりますが,バランス接続によるフォノイコでの昇圧に比べることのできないほどの違いです。

まとめると,アンバラ接続 vs バランス接続ではなく,いかに精度の高い機器を用いるかということです。このような昇圧トランス(大量生産はできません)に出会えた幸運に感謝します。

zappa1993
投稿日時: 2015/8/31 22:01
長老
登録日: 2011/3/17
居住地:
投稿: 1916
Re: Garrard 401のレストア&ファインチューニング記
ケミさん
こんばんは

バランスとアンバランスとの比較、昇圧トランスについてのお考え参考になります。
バランスの優位性を得るためには、当然それにきちんと対応した回路構成が必要ですし、フォノケーブルも疎かに出来ません。
ケミさんの環境で両接続方法にそれ程の差を感じなかったというのは、アコリバのフォノケーブルが優秀で、アンバランスでもノイズの影響が最小限に抑えられているからなのではないでしょうか。
自分の環境でバランスとアンバランスのどちらが良いかは実際に試さなければ分かりませんし、最近盛んに言われるMCカートリッジにはバランス接続が有利という話も気になりますので、私も機会をつくって自分の耳で確かめてみたいと思います。

さて、昇圧トランスの件ですが、そこまでケミさんが惚れられるというのは余程の事なのでしょうね。
P社のフォノイコのように、昇圧用のトランスを内蔵したフォノイコもありますが、少数派ですし、一般的にはヘッドアンプによる増幅の方がワイドレンジで好まれる傾向があるように思います。
しかし、電源回路を持たない昇圧トランスはSNの面では有利ですし、音色に特徴を持つものも有るようですので、愛用者がいるのも頷けます。
トランスを通すとどうしても高域が減退してしまうイメージがありますし、私も積極的には使いたくないのですが、ケミさんのお話しによると、トランス自体が悪いのではなく、トランスの巻き精度や素材に問題があるということの様ですね。
昔のような腕の良い職人さんが殆どいないという話を聞きますので、ケミさんが試されたMCトランスは何物にも代えられない宝に違いありません。
zappa1993
投稿日時: 2015/9/2 20:32
長老
登録日: 2011/3/17
居住地:
投稿: 1916
Re: Garrard 401のレストア&ファインチューニング記
皆さん
こんばんは

スピンドルシャフトを変えることで再生音に変化があるかというマニアックな実験でしたが、結果から申し上げますと、確かに違いはありました。
ただ、その音の変化は機器を変えた時のような大きなものでは無く、ちょっとした音のニュアンスの変化と捉えた方が良さそうです。
それでもスピンドルシャフトで音が変わるということが分かっただけでも良い勉強になしました。

試聴は、この数か月の間に何十回と聴いたレコードのA面を通して聴きくこととし、最後の曲が終わると、スピンドルシャフトを交換して再度A面の最初から聴くという方法を取りました。
スピンドルシャフトに充填されているオイルとカートリッジの慣らし時間もありますので、スピンドルシャフトAでまず30分程違うレコードを聴いてから試聴を始めました。

1.スピンドルシャフトAで試聴(この間に別のGarrard 401でスピンドルシャフトBの慣らし運転をする)
2.スピンドルシャフトBで試聴(この間に別のGarrard 401でスピンドルシャフトCの慣らし運転をする)
3.スピンドルシャフトCで試聴(慣らし運転は必要ありませんが、条件を揃える意味で、別のGarrard 401の電源を入れておきます)


(写真はスピンドルシャフトを固定する3本のネジとシャフトに付けるフェルトを外した状態です)

スピンドルシャフトAは現在メインで使っているターンテーブル(後期型)の物
スピンドルシャフトBは先日レストアした後期型の物
スピンドルシャフトCも先日レストアした中期型の物
AにはGarrard用としてよく見かける専用のオイルを充填していますが、B、Cはホームセンターで手に入るミシンオイルを充填しています。
使用するオイルによる音の違いと、スピンドルシャフトの個体差による音の違いを確かめるのが目的です。
ただ、BとCは同様の手順でレストアをしていますが、厳密に言えば充填するオイルの量を計っていませんし、またスピンドルシャフトにプラッターを乗せた時の収まり具合も全く同じとは言えませんので、音の違いの原因をスピンドルシャフトの違いだけに求めるには無理がありますが、簡易な実験ということでご理解ください。
(レコードをトレースした回数の違いに対しては、数曲に絞って再度A〜Cの順に聴き直すことで対応したつもりです)

まず、基本となるスピンドルシャフトAの音ですが、しっかりと存在感のある音で、力強く音が前に出てくる感じです。
音の分離、低域の分解能も良好ですが、やや解放感に欠ける感じがあり、ギターのカッティング等ももう少しキレが欲しいと思う所もあります。

スピンドルシャフトをBに交換しますと、少し音が鈍り平坦になったような印象を受けました。
これは帯域バランスがやや高域寄りになったことと、音離れの悪さからそう感じたのだと思います。
それでも極端に音が悪くなったということでは無く、あくまで比較すればそのような違いがあるという程度の事です。

次に、スピンドルシャフトをCに交換しますと、ややベースが引っ込んだ感じはするものの、音の重心はAと同程度である上に少し煌びやかな音になりました。
高域がやや強調される点はBと同じですが、こちらは開放的な感じに聴こえ、Aで不足する部分を上手く補っているような感じがします。

AからCまでを一巡聴いた中では、Garrard 401に新たな可能性を感じたという意味で、Cの音が魅力的だったのですが、再度Aを聴いてみますと、音場はやや狭くなったように感じられるものの帯域バランスは一番自然で、密度の濃い音であることが分かります。

Garrard用として売られているオイルはそれ程粘度の高いものではありませんが、適度な粘りがあり、これがトルク感のある音を生み出しているのではないかと思います。
一方のミシンオイルは、粘度が低くシャバシャバした感じで、摩擦抵抗は低いのかも知れませんが、その分音にコクや粘り感といったものが足りないように感じました。
しかし、粘度が高ければ良いというものでもなく、以前にシャフトにシリコングリスを塗った状態で聴いたことがありますが、ダイナミックレンジが狭く冴えない音でした。
同じミシンオイルを充填したBとCの音質差の原因は特定できませんが、シャフトやスピンドル内部の金属表面の状態が影響しているのかも知れませんし、スラストパッドのすり減り具合の違いによる回転精度の問題かもしれません。
何れにせよ、中古部品である以上、まったく同じ状態というのはあり得ませんので、スピンドルシャフトの状態で音が変わるということは十分考えられると思います。
翻って見れば、丁寧にレストアすることで、音質の向上が可能だということが言えます。
全てがGarrard社のオリジナルパーツと言う訳ではありませんが、交換用のパーツも簡単に手に入りますので、消耗が激しいパーツは交換した方が良い場合もあります。

次の実験として、A〜Cの中では一番音が冴えなかったBのスピンドルシャフトを再度洗浄し、これにシリコンオイル(スプレー式の物)を充填して慣らし運転したものを、再度同じ方法でA、Cと聴き比べをしてみましたので、その結果と、オイルの重要性についての私なりの考えを後日書かせていただく予定です。
その際に、ECI-100の塗布とRD-3を使った消磁による効果についても付け加えるつもりです。


※前投稿の写真左側の金属表面の状態があまり良くなかったスピンドルシャフトの方が、もう片方のものより音が良かったことは意外でした。
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