メイン [00-06]アナログレコード オリジナル盤vsリマスター盤 第6回 アート・ペッパー 「ミーツ・ザ・リズムセクション」 | 投稿するにはまず登録を |
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管理人K | 投稿日時: 2008/7/15 22:59 |
管理人 登録日: 2007/12/10 居住地: 投稿: 1907 |
オリジナル盤vsリマスター盤 第6回 アート・ペッパー 「ミーツ・ザ・リズムセクション」 オリジナル盤vsリマスター盤第6回はアート・ペッパー「ミーツ・ザ・リズムセクション」です。 このアルバム、当時ウエストコーストジャズの第一人者であったアート・ペッパーがイーストコーストを代表するマイルス・デイビスのリズムセクションと競演したもので、発売は1957年、実に50年以上も前にもなる訳ですが、名手ロイ・デュナンの優れた録音により新録も敵わないほどの鮮度とリアリティを感じる素晴らしい音質で、アート・ペッパーも録音時薬物中毒だったとは思えない神がかり的なプレイで「モダンアート」と並んでニュアンス豊かなサックスの音色で最も優れたプレイを披露してくれています。 比較したのは日本再発盤、アナログプロダクション180g重量盤、アナログプロダクション45回転重量盤、米国オリジナル盤のステレオ4種類と、日本再発重量盤、英国オリジナル盤、米国モノラル盤のモノラル3種類の合計7枚です。 日本再発盤 まずは日本盤から。この盤はELPEAMANさんによれば90年代に新星堂から限定でプレスされた再発盤だそうです。 音質はアート・ペッパーのサックスが左チャンネルに程よくクローズアップされ中々いい感じです。リズムセクションはかなり控えめで薄く感じますが、歪み感もなくすっきりした音でアート・ペッパーのサックスを聴くにはまあまあ楽しめると思います。 アナログプロダクション社製180g重量盤 次に米国アナログプロダクション社から再発された180g重量盤です。先程の日本盤がとても薄く感じる程、厚みのある音で驚きます。各音像も音場も厚みがあり濃密です。サックスも厚みがあり、より有機的でリアルな音色です。なんといっても違うのがリズムセクション。日本盤とは比べ物にならない程、力強く厚みのある演奏になってます。 この盤は既に生産は完了しているようですが、まだ市場には在庫が多くあるようですので現在簡単に入手出来る盤では最も優秀な音質ですので見つけたら即入手される事をお薦め致します。 アナログプロダクション45回転重量盤 次に同じくアナログプロダクション社から世界限定1000枚でプレスされた45回転重量盤です。 同じアナログプロダクション社の180g重量盤と比べても立体感や切れがまるで違うのが一聴して判ります。 音場の透明度も上がり、ドラムスの高さまで見えてきます。 リズム隊は実に強力強靭。 ベースのポール・チェンバースやドラムスのフィリー・ジョー・ジョーンズもまるで握力や腕力、運動神経も向上したかのような立ち上がりや切れのよさ、力強さを感じます。 レッド・ガーランドのピアノも艶やかで粒立ちの良い音色になっていますし、アート・ペッパーの音像もよりクローズアップされ細かいニュアンスが明確になりリアリティが増しています。 現代録音を遥かに凌駕する立体感と切れ味に唖然とします。 米国オリジナル盤 STEREO盤の最後は本命米国オリジナル盤です。 アート・ペッパーのサックス音像は最も密度が高く、いい意味で艶かな音色です。アート・ペッパーのサックスの音はこうであったであろうと思わせる自然さもあります。 リズムセクションは45回転重量盤ほど強力さはありませんが、やはり自然でこれが本当だろうと思わせます。 ピアノの音色もより艶やかで、いい演奏だなと思わせてくれる音質です。 という事で今回の順位は 1、米国オリジナル盤 2、アナログプロダクション45回転重量盤 3、アナログプロダクション180g重量盤 4、日本再発盤 です。 個人的には45回転重量盤の圧倒的な透明度や立体感、切れの良さなども魅力を感じますが、自然でアート・ペッパーの演奏の魅力を最も伝えてくれるのはやはり米国オリジナル盤だと思います。 今回も参考までにモノラル盤の比較も行いました。 日本再発盤 この盤はELPEAMANさんによると、ビクターから90年代に再発されたもので日本屈指のマスタリング・カッティングエンジニアである小鉄徹さんがカッティングを手掛けたものだそうです。 音質は少々ギラギラしていてどこか味付けを感じる音質です。 厚みなどにアナログの良さは感じるのですが、どこかケバケバしさを感じてしまいます。 英国オリジナル盤 英国で当時プレスされたオリジナル盤です。 日本再発盤と比べるとずっと自然で穏やかな音質です。 日本再発盤にあったギラつきやケバケバしさがなく、きちんと楽器の音が自然に再現されています。 幾分薄さや大人しさは感じますが、自然でいい音だと思います。 米国オリジナル盤 厚みとエネルギーに満ちた素晴らしい音質です。 STEREO盤のような広大な音場や立体感はありませんが、厚みのある渾然一体となったリズムセクションをバックにアート・ペッパーのサックス音像が中央に立体的に浮き上がります。 そのサックスの音色もSTEREOの米国オリジナル盤と比べても極めて軟らかく柔軟なニュアンスでこれがアート・ペッパーのサックスだと思わせる感動的な音色です。 今回のモノラル盤比較もマスターテープ保有国の優位性と音作りのお国柄の違いを感じさせる結果となってしまったようです。 |
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