メイン [04-03. アンダーボード]電源BOX用アンダーボード TB-38H TB-38Hの効果をさらに深く体感 | 投稿するにはまず登録を |
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メリメロ | 投稿日時: 2022/2/17 17:01 |
常連 登録日: 2019/5/14 居住地: 投稿: 48 |
TB-38Hの効果をさらに深く体感 メリメロです。
RTP-2 absolute導入と並行して、新たにTB-38Hを二台導入しました。 我が家にしてはたいへんな贅沢です。 これまで使っていた一台はRTP用にして、今回導入した二台については、その一つをデジタル機器用の6口電源ボックス用にして、もう一つをPC用にしました。PCは元々Oliospecのオーディオに特化したものを使っていたのですが、段々とこれが鬱陶しくなり、今年に入って書斎のMac miniをこれと入れ替え、仮置きの状態なのですが、そのままにして使っています。もっとよく確かめる必要があるありますが、今の環境だと、Mac miniの方が伸びしろあるように思えます。 TB38-Hは電源ボックスおよび小型機器用と案内されていますが、当方の限られた経験では、電源ボックスへの使用が優先という印象です。これをRTP用に使ったときの効果についてはこの欄のピースケさんのご投稿が大いに参考になります。自分もまた完全に同感です。 RTPプラスTB-38Hの効果によって、いわば「等身大の音楽」(とくに弦楽四重奏)のリアルさの度合いが飛躍的に増したことは報告済みです。あえて付け加えると、フォルテピアノですが、ロナルド・ブラウティハムやオルガ・パシチェンコなど、楽音とノイズの境界領域に弦の震動音を響かせる最近のベートーヴェン演奏が、楽器サイズの体感も含めて、おそろしくリアルです。博物館的な時代考証とは別世界です。 ただしRTPプラスTB-38Hの組み合わせには、我が家の装置の弱点を洗い出す効果もあるようで、これも報告済みですが、ガランチャがウィーン・フィルをバックに歌うザルツブルグ・コンサートの録音(DG、2021年)、とくにマーラーのリュッケルト歌曲集の最終曲の出だしの声が木管の響きに埋もれてしまったり、またヴァイオリンのソロが声に絡む部分などは、折角のウィール・フィルなのだから、もう少し弦の響きがきれいに聞こえてよさそうなのに、という感想を持ちました。このときは、二台目のTB-38HをMac miniの下に置いていました。その後、アンダーボードをデジタル機器用の電源ボックスの下に移動させたところ、若干ですが、こちらの方が聴感がよいように感じました。 そのあたりを確認したところで、新たに届いた三台目をMac miniの下に入れてみると、だいぶ具合が良くなりました。つまりTB-38が電源ボックス二台とPCを支えるようになったわけですが、最初60点台だったものが80点台後半まで上がった感じです。声の出だしの箇所が明確になり、また言葉も、とくに弱音部分がよく聞き取れるようになりました。弦の独奏部分もだいぶきれいに聞こえるようになりました。 こうしてウィンナ・オーボエなのかイングリッシュ・ホルンなのか、この曲(Ich bin der Welt abhanden gekommenという曲です)の冒頭の木管の響きを何度か繰り返し聞くうちに、ふとマーラーはこの響きを念頭において作曲したにちがいないと思うようになりました。それくらい独特の響きです(同じくウィーン・フィルを振ったブーレーズ指揮のものがあるので、取り寄せて聴いてみることにしました)。これまで自分が親しんできたのはバルビローリ指揮のフィルハーモニアおよびハレ(歌手はジャネット・ベイカー)、クレンペラー指揮のフィルハーモニア(歌手はクリスタ・ルードウィヒ)といったところで、そこまで意識はおよびませんでした。 言葉が他の楽器にマスクされずに聞こえてくるかどうか、楽器の固有の音色がリアルに聞こえてくるかどうか。このあたりの聴感上の変化は微妙なものですが、それならばブーレーズ指揮によるドビュッシーの『ペレアスとメリザンド』(CBS、1969-70年)は果たしてどんなふうに聞こえるのか確かめたくなり、PC音源で聴き直してみました。半世紀前の古い録音で、メトロポリタン歌劇場刊行のオペラ録音ガイド本では、昔のエヴェレスト盤の擬似ステレオのように不自然という低評価です。確かに天井の低いホールで歌っているのを聴いているようで、おかしな反響のせいで言葉が聞き取りにくく、言葉を聞こうと音量をあげると、今度はオーケストラの音がうるさくなる厄介なシロモノと思っていました。それでも、バッサリと切り捨てられなかったのは(その後LPも買って較べてみました)、30年前にパリのシャトレ座でブーレーズ指揮によるこの演目の上演を見て、それまで掴みどころがないと思うほかなかった音楽の核心部分に一挙に引き込まれた強烈な体験があったからです。 驚きました。優れた録音とは言えないかもしれませんが、冒頭の森の中の噴水のシーンでのゴローとメリザンドの出会いの場面のやりとりが、全部きれいに聞こえてきます。まず舞台の右手奥からゴローが登場し、中央に位置する(不可視の)噴水に近づき、メリザンドを発見し、最後は二人が連れ立って舞台左手奥へと消えてゆくまで、緊張感溢れる二人のやりとりが、位置の移動も含めて、まるで映画の一シーンを見るように克明に見えて(聞こえて)きます。 ブーレーズ指揮のシャトレ座での上演に刺激を受け、『ペレアスとメリザンド』の録音の目ぼしいものはほぼすべて聞いたつもりですが、有機的な作品の再構成という意味において、これほど一貫したコンセプト(=狙い)をもって臨んだものはほかにないのではないかと思えます。冒頭シーンを聴くだけで、キレやすいゴローの性格がすでに透けてみえ、空中に充満する不安と恐怖が伝わってくるようです。 まもなくフランソワ=グザヴィエ・ロト指揮による『ペレアスとメリザンド』のシャンゼリゼ劇場でのライヴ録音が出ます(デュムソー指揮のものが昨年のレコード・アカデミー賞を受賞しましたが、真打というべきはロトの方ではないかという気がします)。昨秋フランス・ミュージックのライブ放送で一応は聴いているのですが、もう少しよい状態で聴けるようになるのが楽しみです。インタビューでは、いかにもロトらしく、20世紀初頭のドビュッシーがどのような響きをイメージしていたのかを追求するのだと抱負を語っていました。一見すると伝統を切断するブーレーズの対極にロトはいるようにも見えますが、このひとはロンドン・フィルでブーレーズの助手をつとめた経験もあるわけで、鋭い分析能力を受け継いでいるのはまちがいありません。 マーラーのリュッケルト歌曲集のくだんの一曲では、バスーンの響きも重要な役割を果たしています。『ペレアスとメリザンド』の冒頭で最初に聞こえてくるのは、出口なしの深い森をさまようゴローの鬱屈を暗示するかのようなバスーンの響きです。深い森だと見通しが効かないわけですが、音の見通しがよくなるにつれ、楽器固有の震動音がわれわれの心にもたらす情感も一段と深く濃いものになってゆくようです。ロト盤への期待が高まるゆえんです。 |
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» TB-38Hの効果をさらに深く体感 | メリメロ | 2022/2/17 17:01 |
Re: TB-38Hの効果をさらに深く体感 | RANZAN | 2022/4/2 14:40 |
Re: TB-38Hの効果をさらに深く体感 | メリメロ | 2022/4/5 10:00 |
Re: TB-38Hの効果をさらに深く体感 | RANZAN | 2022/5/5 15:31 |
Re: TB-38Hの効果をさらに深く体感 | ヤマケン | 2022/5/23 1:56 |
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