神の恩寵により修理代がタダになるらしいので初投稿いたします。
某密林で3万円を切ったときに飛びつきました。
初音ミクのフィギュアが発売延期になったとかで浮いた資金を回したような気がします。
私にとっては少々高い買い物です。
アコリバ製品に親しんではいましたが、試聴もせずに買うのは勇気が要りました。

こういうオーディオ製品というものは、最初は「おお！」と思っても往々にして、そのうち無感覚になり、あってもなくてもどうでもいいんじゃないか？　という疑念が兆してくることも多いのですが、FNS-PHONEはそのようなことは今のところないし、多分永久にないと思います。

ちょっとアクシデントがあって修理をお願いしたのですが、その間、FNS-PHONEなしでは、もはや聞くことが出来ず、仕方なくバランス接続でヘッドホンを聴いていました。
仕方なく、というのはバランス接続可能なヘッドホンアンプがポータブルタイプのものしか持ってなく、バランスだとバッテリーの消耗が激しいので、あまり気軽に聴こうとは思われないからです。
それにFNS-PHONEがあればバランス接続など不要とさえ思えます（だからといって手放す気はありませんが）。
修理に出すときは、どちらかといえばまだ3万円出して買ったものがパーになるのが惜しい気持ちが強かったのですが、FNS-PHONE不在の二日間に「3万円なんかよりもっと大なるものを俺は失ったのだ」という暗澹たる気持ちをたっぷり味わいました。
バランス接続では3機種しか聴けず、10年ほどで買い集めた大多数のヘッドホンやヘッドホンアンプどもが無用の長物になってしまいます。沈黙のオブジェと化してしまいます。各種ケーブルもです。非常に虚しい光景です。
こういう精神の暗夜を潜り抜けた結果、定価41040円は高いと思っていましたが、むしろ安いと思えました。
2万円くらいだったら２〜３本買って、よく使うヘッドホンには繋ぎっぱにしとくんだけどなあ、などと思っていましたし、４万円というのはちょっと興味本位では迂闊に手を出せないと感じていました。でも今は安いと思えます。

その効果はF社の3.5→6.3アダプターと6.3→3.5アダプターでサンドイッチして、電子ピアノのミニジャックに繋いだ時に最も明瞭にわかりました。宇宙背景輻射の如くしつこく痕跡をとどめていたノイズが信じられないほど綺麗さっぱり成仏しやがったのです（その後、この投稿をするに当たって再テストしたときはちょっと戻ってきたので、気のせいだったのか、その時どきの電源環境・状況なんかにもよりけりと思われますが、FNS-PHONEなしに比べてノイズレベルが下がることは、これは間違いありません。そこが変わんなかったら、この製品のアイデンティティとか沽券に関わりますからね。でも再テストしなきゃよかったかな。遅かれ早かれ分かった事かも知れないが、厳密に聴かなければ幻想は維持されてたかも）。
一音一音の美しさには瞠目すべき変化は認められませんが、元に戻すとちょっとくどい感じです。FNS-PHONEありのほうが軽やかで、音を出していて気持ちが良いです（これは再テストでも変わらず、ますますその印象を深めました）。聴く人が聴けばうおお、とのけぞるかもしれません。絶対に手放せないアイテムになりました。

いずれ保険として、もう一本買っておこうと思います（２本直列したらどうなるんだろう？　とも思うし……）。



最後に、使用上の注意点としては、硬いのでヘッドホン端子をちゃんと奥まで入れること。
当たり前のようですが、けっこう力を入れないと奥までカチッとはまりません。
ここまでかな、と思ってもガチッとはまるまでは、まだ先があると思ってください（買ったばっかで壊したくなくて恐々扱っていた私は、初日は気付きませんでした）。
そして、ヘッドホンを抜くときはこれまた当たり前ですが先端や黒い部分ではなく、しっかりと根元の金属部分を持ってなるべく真っ直ぐ引き抜くがいいと思います。アンプのフォーンジャックが硬い場合もなるべく真っ直ぐ抜くのがいいと思います。ねじるのは凶です。時計回りならそれ以上回らないので、まあ安全ですが、反時計回りだと製品を分解する方向で最悪、中のジャンパー線が断線する恐れがあります。
フォーン端子以外のものを入れるのもよくありません。たとえ市販のフォーン端子用のクリーナーであっても、FNS-PHONEにはまず適合しないと考えるがいいでしょう。途中で先端が引っかかってしまい、フォーン端子であればツルッとすべって進み、カチッとはまってくれるのですが、そのつもりでクリーナーを押しこくると悲惨なことになります。フォーン端子をカチッとロックしてくれる金具が変形し、完全に侵入を拒みます。
自分はこれを直すためにいろいろ骨折ってる過程で愚かにもねじってしまい、ねじりまくってしまい、内部のジャンパー線をぶっちぎってしまいました。ねじるのは凶です。
こうして私はアコリバ様に貴重？な破損事例の１サンプルを提供することとなったのです。

了