掲示板トップページ

お知らせ

「長時間かけて書いたコメントが送信できなかった」等の送信エラーのご報告をいただいております。 こちらは一定時間が経過した段階で、タイムアウトと判断している為です。 掲示板のセキュリティ上、どうしてもタイムアウト時間を設定する必要がございます。 つきましては、メモ帳などで下書きいただく等でご対応いただければ幸いです。 今後とも当掲示板をよろしくお願いいたします。
メイン
   [00-06]アナログレコード
     誰も言わないアッパーフォースの事
投稿するにはまず登録を

スレッド表示 | 新しいものから 前のトピック | 次のトピック | 下へ
投稿者 スレッド
Yo
投稿日時: 2013/1/17 19:30
一人前
登録日: 2012/3/21
居住地:
投稿: 120
誰も言わないアッパーフォースの事
皆様

アナログディスクは音楽の保存方法として優れたものではありますが、知れば知るほど「あのような一本の溝に刻まれた振動を針で再生する方式が、なぜ最新のCDやSACDに比べてもそれ以上の音楽的感動が得られるのか分からない」というのが実感です。そしてまたディスクとプレーヤーの関係も知れば知るほど「必要悪のバランスで成り立っている」ことがわかり、論理的に完全なシステムなどないことが分かってきます。

前回はアームの水平方向に関することでインサイドフォースについて思うところを書かせて頂きましたが、今回は「誰も言わないアッパーフォース」と題してアームの上下方向の力の作用について書かせて頂きます。私の知る限りこのことを書かれたものを見たことが無いので「誰も言わない」とさせて頂きましたが、どこかに有ったりする情報やご反論がありましたらどんどんお寄せ頂ければ有難いです。

前置きが長くなりましたが、私がこのことに関心を持ったのは30年近く前にオーディオクラフトAC3000MCというワンポイントサポートアームを使い始めてのことです。カートリッジはオルトフォンMC20SuperでターンテーブルはDENNON DP80というラインナップで主にジャズを聴いていましたが、いくら調整しても実在感のある低音が出ません。ジャズで押し出し感のある(多少ゴリッとした質感の)中低音は魅力の一つです。クラシック向きと言われるMC30系ならわからないこともないのですが、MC20は「いける」と他で聴いて確認して買っていますので「??」です。付属のストレートアームが軽針圧用なのかとS字タイプに交換しても重々しくなるだけでダメ、ストレートアームに錘を付けて慣性質量のバランスをとってもダメ、アームにはオイルダンプの調整機能が付いていて、それを掛けていくと確かに低音は出てくるのですが私の好みに合わず、言葉での表現は難しいのですが要するに「キレのある低音」から遠ざかるのです。質感で言うと掛けない方がまだ良いという状況でした。アームが悪いのかと思いましたが中、高音は反応の良い音を聴かせてくれていますのでワンポイントが悪いわけではないと思い、構造を良く観察しました。


そこで分かったことはアーム支点が高いということでした。通常の(SMEなどの)アームではアームパイプの中心の高さに支点がありますが、このアームの支点はそれよりかなり高い位置にあります。ワンポイントアームですからアーム全体を安定させるために支点を高くして、要するに「やじろべえ」構造になっているのです。

ここまでわかるとおおよその想像が出来、インサイドフォースがアームのオフセットアングルが原因で針が溝に引っ張られる方向とアーム支点が針を支えようとする方向に角度が出来ることによってその合力でインサイドフォースが発生することと同じように、支点が高いことで同様の事(針が溝に引っ張られる方向とアーム支点が針を支えようとする方向に角度が出来ることによって出来る上方向への合力:つまりアッパーフォース)が起こって針圧が不安定になっていること。そしてその不安定さを抑えるために(アームが上下方向にスイングしやすいことを抑えるために)オイルダンプ機能が付いている・・・と予想しました。


この予想を確かめるために(もちろん私の好みの音にするために)下図のようにシェルの部分にくさび形のスペーサーを作ってカートリッジを取り付け、支点を下げて使えるようにしてテストしました。何種類か作って音を確認しましたが大きく分けて図のようにA,B,C3タイプの音を聴いた感触では、Aタイプは「まだ低域のソリッド感が足りない」、Cタイプは「低域のソリッド感が出過ぎてゴリゴリすると同時に重苦しい」、そしてやはり通常のアーム程度のカートリッジの中央くらいに支点の高さを持ってきた場合(Bタイプ)が最も音的に安定し低域のソリッド感と量感が最も望むものでした。もちろんオイルダンプはかけていません。聴きに来た友人が「何これ?」と言うので「コンコルドスタイル」とうそぶいて楽しんでおりました(笑)。


なぜBタイプ(カートリッジの中央程度の位置に支点の高さを合わせる事)が良いのかは想像ですが、カンチレバーの支点とアームの支点の高さが合うのが良いのではないかと考えます。厳密には針よりアーム支点が高い場合はアッパーフォースは発生しますが、カンチレバーの支点のダンパーが緩衝材となることや、カートリッジメーカー側でも旧来の一般のアームで音調整を行っているのでは?と考えます。

その後プレーヤーを更新することになりまして、やはり反応の良いワンポイントアームが好みの私として「オイルダンプ無しで使える」を条件に探しました(と言ってもそれほど数はありませんが)・・・有りました。ノッティンガム・スペースアームです。支点は通常のアームと同じアームパイプの位置にあり、支点のハウジングの重心やバランスウエイトを徹底的に下げてバランスを取り、取り付けシェルもL型でカートリッジの中央にアーム支点が来る様な設計になっています。何の目盛りも無く使い勝手は良く無いですが、追い込んでやるとワンポイントアームの反応の良さと重心の低い安定した音が共存してこのアームは手放せないものとなっています。ワンランク下のインタースペースアームはその重心を下げた構造が簡素化されているので取り付けシェルはストレートで少し支点が高いです。


なぜこのアームがあまり評価されないのか分からないくらいです。基本はターンテーブルに付属のアームですが、私にとってはアームに付属したターンテーブルくらいの評価をしています。もちろんターンテーブルもユニークで、定速回転をさせることしか出来ない低トルクモーター(プーリーだけでも回りません)と重量級ターンテーブルの組合せはとても静かで、固有振動数の違う異種材を組み合わせた構造はサスペンション無しでハウリングに強く、私のSPから1m程のところで使っていますが大音量でハウリングと無縁です。

他のワンポイントアームを見てみますと、まず有名なグラハムがあります。このアームは私が以前使ったオーディオクラフトのアームを元にしていて、構造や精度を究極まで改良したものです。ただ支点の高さは(印も何も無いので揺らしてみての判断ですが)やはりクラフトのアーム程では無いですが高いです。そしてオイルダンプが付いています。
もう一つワンポイントではありませんが吊り下げ式のアームとして有名なウェルテンパードのアームがあります。構造を良く見るとアームの上下動の支点(A)はそれほど高くなくアッパーフォースもそれほど大きく無いと想像できますが、他にも支点があってアーム回転の支点は吊り下げのワイヤーを途中でねじった所(B)と思われますし、吊り下げの根元もアームが前後に揺れる支点(C)となっています。やはり揺れることを防止する為にゴルフボールのようなものがオイルバスに漬かっています。


最後にワンポイントではありませんがアッパーフォースについて気になるアームがあります。トラッキングエラーが限りなくゼロになるように設計されて有名なターレス・シンプリシティー・アームです。2本の割り箸(失礼:笑)が若干カートリッジ側で開き気味になっているように見えるところがミソだと思いますが、レコード外周から内周まで溝の接線にきちんと向くようにオフセットアングルが変化します。この手のアームは昔(確かビクターだったと記憶していますが、違うかもしれません)トラッキングエラーレスアームとして存在しました。しかし可動点が多く共振に弱く音の良さに繋がらなかったのか短命に終わりました。このターレスアームはその点精度が高く作られているのでそういうことは全く無く、一度ショーで聴きましたがトラッキングエラーがないと言う事でリニアアームに近い空間表現とプレゼンスの良さが絶品ですが、支点のあるアームとしての音の実在感も兼ね備えた良さを感じました。しかしやはり支点が高い所為か腰高に聴こえました。中、高音の実在感と比べて低音の実在感がやはり薄いのです。
図の下のL型のような構造になれば・・・・欲しいです(笑)。
zappa1993
投稿日時: 2013/1/20 18:56
長老
登録日: 2011/3/17
居住地:
投稿: 1916
Re: 誰も言わないアッパーフォースの事
Yoさん
皆さん

こんばんは

「ワンポイントサポートアーム」初めて目にする言葉でした。
トーンアームは全て点で支えられているものだと思っていましたが、そうではなく、色んな構造の支持部があるのですね。(むしろワンポイントの方が少数派なのですね)
しかもそのどれもが100%完全なものではなく、必要悪のバランスの上で成り立っているというのは、音作りにおいては調整幅の広さ、オーディオにおいては構造自体の奥深さの興味に繋がります。
CDプレーヤーの、トレイにCDを乗せてプレイボタンを押すだけの簡単な操作に比べると、アナログの調整項目の多さ(=複雑さ)は圧倒的です。
しかし、これらの調整項目をきちんと理解し、正確に調整できている人は意外と少ないのではないでしょうか。
「インサイドフォースキャンセラー」に次ぐ、今回のYoさんの投稿はアナログの仕組みを考えるいい切っ掛けになりそうです。


投稿内容を何度も読み返しましたが、重心が低いワンポイントサポートアームでは、Yoさんが仰るように針が溝に引っ張られる方向とアームの支点に引っ張られる方向の角度により合力が発生し、これがカートリッジをレコード盤から離れる方向に働く(アッパーフォース)のは間違いないと思います。
更に、支点で平行に釣り合っているのではなく、やじろべえ状態で360°のバランスを取っているワンポイントサポートアームでは、一度上下運動がおこると、これが鎮まるまでにしばらく時間がかかりますし(支点からの距離と重さによる)、振り子の原理で上方向に起こった運動は、その後に下方向にも起きます。
これらの事は、針が溝をトレースする能力の高さを手に入れる反面、上下方向の追従性を犠牲にしていると考えられます。

一般的なアームとオーディオクラフトの重心が低いアームとの比較の中で一つお伺いしたいのですが、平衡を保っている状態でレコード盤とカートリッジの高さは同じでしょうか?

私の想像では、重心が低いものの方がこの高さが低く、この為アッパーフォースを生む支点との角度も緩和される様に思います。
そして、私の図が正しいなら一般的なアームでも同様の原理でアッパーフォースが生じることになります。
実際には一般的なアームの高さは私の図ほどのものではなく、アッパーフォースもそれ程生じないのでしょうか?
針とレコード盤との高さがどちらも同じであれば、重心の低いワンポイントサポートアームの方が支点との角度が大きくなりまので、Yoさんのお考えに合致します。(恐らくこれが正しいのでしょう)


{注:赤、青、緑の線は私の考えを伝えるために書き加えたもので、事実と異なる部分があります}
 


もう一点お伺いしたいのは、シェル部分にくさびを付けて実験された図を拝見させていただくと、シェルが下方向に働く力の方向がA,B,Cでそれぞれ違うように思います。
この力は針が溝にそって引っ張られる力に加わりますので、溝のトレースにも影響があるのではないでしょうか。
このことは針圧にも影響があると思いますし、それが音の変化に繋がっているということもあるのでしょうか?


{注:赤の線は私の考えを伝えるために書き加えたもので、正確な情報を示しているものではございません}


更にもう一点^^;  支点を点で支えているワンポイントサポートアームでは、アームの両端方向を縦とした場合、アームの上下の動きと同様に、アームがロールする横方向の上下動も起きますが、これはどの様にして防がれているのでしょうか?
オイルダンプの構造を調べましたが、半球状の凹みに凸の半球が収まっているような形で、これだけですと積極的な解決になっていないように思います。
インサイドフォースキャンセラーの時と同じで、針が90°角の溝に入っているので力は働いても実際には傾かないのでしょか?


※投稿の画像使わせていただきました。
Yo
投稿日時: 2013/1/20 22:46
一人前
登録日: 2012/3/21
居住地:
投稿: 120
Re: 誰も言わないアッパーフォースの事
zappa1993さん

ご返事有難うございます。いつも私のわかりにくい書き込みに興味を持って見て頂いて感謝いています。特にアナログをされないzappa1993さんにとって想像するしかない事なのにこれだけのお返事驚いています。

何点か誤解もあるようなので回答とともに申し上げます。

1)zappa1993さんの「重心が低いワンポイントサポートアームでは」と「一般的なアームとオーディオクラフトの重心が低いアームとの比較の中で」の文章に誤解があるようです。確かに支点を持ち上げることで相対的に下がった重心でバランスを取ることを「やじろべえ」と申しましたが、ちょっとニュアンスが違います。私の言いたかったのは通常のアームのようにアームパイプのセンターに支点を置いたまま(他のところの重心を下げて)バランスを取ろうとしないで、(安易に)支点を上げることで安定バランスを図ったために針と支点の高低差が付き過ぎてアッパーフォースが発生し、特に低域の安定性が不足した音(すなわち実在感不足)となっている。・・・と指摘したかったのです。

2)もう一つは私の書いた図を「つり合っている図」と誤解されているのかな?と思いました。私の書いた図はすべてレコードをプレーしている時の状態の図です。書いていませんが針の下にはレコード盤があって接しています。カートリッジが水平にある状態を書いているのでお分かり頂けると思っていましたが、誤解を生んだかもしれません。すみません。

3)シェルの部分から垂直に力が働くという図をお書きになっていますが、これは間違いです。あくまで支点と作用点の関係は支点を中心にして描いた円の接線方向に力が働きますのでシェルの向きは無関係です。私の図では支点を通る水平線(一点鎖線)の場所で垂直に働きます。・・・その意味でも支点と針との高低差が無い方が針の部分で垂直の力となると言えるかもしれませんね。

4)最後のご質問ですが、ワンポイントアームのラテラルバランスはカートリッジの重さや形状で狂いますので横方向にもバランサーが付いていて調整できるようになっています。最新のスペースアームではシェルを回転させるようになっています。

「オイルダンプの構造を調べましたが、半球状の凹みに凸の半球が収まっているような形で、これだけですと積極的な解決になっていないように思います。」
...これは何で調べられましたか?オイルダンプはいろんな形があって、一番身近なのは車のサスペンションのダンパーですね。結局オイルの粘性を利用して動きに制動をかけるもので可動点にオイルが存在するだけでオイルダンプと言えます。アームの場合アッパーフォースによってアームが上下にスイングすることオイルで制動をかけているということです。その形状や方法は分かりません。

以上で分かって頂けたでしょうか?誤解を招かないためにまた図解で説明させて頂きますが、ちょっと時間を下さい。
zappa1993
投稿日時: 2013/1/20 23:36
長老
登録日: 2011/3/17
居住地:
投稿: 1916
Re: 誰も言わないアッパーフォースの事
Yoさん

早速のご解説(間違いの指摘)ありがとうございます。

私の理解が足りず申し訳ございません。
図化されたものは、レコードに針が乗っている状態だったのですね。
それならば、一番最初の図の通り明らかにワンポイントサポートアームの方が支点が高いことが分かります。

次のシェル部分の図も青線上(下図)にシェルの頭が並ぶことを考えると(それ以上前に行くことは無い)支点を中心にした円周上をシェルが通るだけで赤矢印の方向に力が働き続けるわけではありません。
正しくはシェルの円周上の位置によってかかる力の方向が違うということですね。
Yoさんが仰るように高低差がない方が垂直に近い力になります。
しかし、実際には針がレコード盤に当たり、それ以上下がらないことを考えると、常に赤矢印の方向に力が働いていると考えることもできます。
どこが間違っているでしょうか?
(アーム上に支点がないため頭がこんがらがってきました)


{注:赤と青の線は私の考えを伝えるために書き加えたもので、正確な情報を示しているものではございません}

オイルダンプはオイルダンプアームというもので知りました。
これもワンポイントアームですが、Yoさんが仰るワンポイントサポートアームとはまた別種でしょうか?

>以上で分かって頂けたでしょうか?誤解を招かないためにまた図解で説明させて頂きますが、ちょっと時間を下さい。

誤解していた部分がよく分かりました。
まだ誤解している部分もあると思いますので、正しく理解するためによろしくお願いいたします。
Yo
投稿日時: 2013/1/21 18:29
一人前
登録日: 2012/3/21
居住地:
投稿: 120
Re: 誰も言わないアッパーフォースの事
appa1993さん
皆様

zappa1993さんのご返信のアームシェルからの赤い矢印(応力?回転モーメントの方向?)と青い線(シェルの位置?)の記載ははっきり言って何を意味して何に危惧されているのか分かりません。支点はリジッドなので動きませんし・・・申し訳ない。そして間違いの指摘は心苦しいのですがどちらも間違っています。
まずシェルの面からの応力ですが、シェルの面に垂直には働きません。そのポイントと支点を結んだ線に垂直となります。
そしてアームは支点を軸に回転方向に傾けますのでシェルの頭は揃いません。



他はオイルダンプの事で「オイルダンプの構造を調べましたが、半球状の凹みに凸の半球が収まっているような形で、これだけですと積極的な解決になっていないように思います。」と有りますがどんなサイトをご覧になったか教えてください。
そして「アーム上に支点がないため頭がこんがらがってきました」と有りますが、支点は表示していますが・・・。

いろいろ誤解をされるような書き方をしたのかも知れませんので2点ばかり説明を追記します。

(アッパーフォースとアームのスイング)

アッパーフォースで説明してきましたが、アームのスイングという表記も使いましたので混乱されている方も有るかと思います。アームのスイングについて簡単に説明します。論理的にはアッパーフォースで説明するのが正しいですが、スイングの方が感覚的には分かりやすいと思います。

下図は極端に支点を高くしたアームの場合ですが、針がレコードの溝に引っ張られる方向とアームの縦の回転方向が一部一致するのでスイングしてしまい、特に振幅の大きい低音では不安定になってしまうのです。このスイングをしにくく制動をかけるのがオイルダンプです。支点を高くしたアームではオイルダンプは必須です。


ところが針と支点の高低差が無いと、アームの縦の回転方向とレコードに針が引っ張られる方向はほぼ直行しますので影響がない(針は安定する)と言う理屈です。


(クラフトのアームで支点を低くした時の問題点)

コンコルドスタイルと称してクラフトのアームで支点を低くしたときは、ただ単にくさび型のスペーサーを取り付けるだけではダメでいろんな問題が発生します。

1)まずは上記zappa1993さんへの回答で「アーム支点を軸に回転させるのだからシェルの頭は揃いません」と述べましたが、「だったら針の位置も変るのでは?」と思われると思いますが、これは取り付け時にオーバーハング等は取り直していますので針の位置は変りません。

2)カートリッジはアームに対してオフセット角だけ傾いて付いているのでアームの前後を傾けたらシェルの左右も傾くのでは?

これはその通りです。下図のように支点を下げてカートリッジの高さをそのままにするとカートリッジの外側(レコードの外側)が浮いて傾いてしまいます。それを修正する為にアーム内蔵のラテラルバランスの調整機能だけでは無理で、アームの支点のハウジング外側にバランサーを追加して矯正して使わないといけません。クラフトのアームはS字アームも使えるようになっていますので、この追加のバランサーは同梱されていたので簡単にできました。ハウジングは傾きますがワンポイントの支点は問題なく稼動しました。


3)コンコルドスタイルにすると、レコードの端がアームに触るのでは?

これもそのとおりで、Cタイプが限界で反ったレコードだと内周まで使えませんでした。

他にもカートリッジ取り付けのナットも安定した取り付けの為に削って傾けました。

こんな所でなんとなくでもお分かり頂けたら嬉しいです。
zappa1993
投稿日時: 2013/1/22 20:37
長老
登録日: 2011/3/17
居住地:
投稿: 1916
Re: 誰も言わないアッパーフォースの事
Yoさん
皆さん

こんばんは

詳しいご説明ありがとうございます。
私の誤った考えをYoさんの図に書き加えたことで、折角書かれた正確な図を壊すことなり申し訳ございませんでした。
正確な図だからこそ、その先の理論の展開で正しい結論を導き出せるわけで、私のアバウトな図では正しい結論を導き出せないばかりか、誤った解釈を生むことにもなります。
論者オリジナルの図を基にした論理を綻ばせない為に、これからは自分の考えは自分の書いた図で説明することにします。
自分の考えを人に正しく伝えるというのは難しいですね。
Yoさんの説明を待たずに再度書き込んだことで、余計に誤解を与えることになってしまいました。

先の私の投稿と図をご覧になった方が、Yoさんの投稿に誤った解釈をされてはいけませんので、私の意図を説明させていただきます。
私がYoさんの図に書き込んだ青い線は、「アームは支点を中心に回転するためシェルの頭が青い線より前に出ることは無い」という意味で書きました。
これは私が書き加えた赤い矢印の方向に力が働き続けるわけではない(そうなるとシェルの頭が青い線を越えてしまいますので)という説明のために書き加えたもので、シェルの頭の位置はA,B,Cでそれぞれ異なります。(Yoさんが解説された通りです)
また赤い矢印の向きもYoさんが解説された通りシェルに垂直に働くものではなく、私の書き込みは間違っています。(単に、力の方向に違いがあるのでは?という私の考えを伝えるために書き加えたもので正しい向きを測ったものではありません)
なぜ私が赤い矢印に拘ったかと申しますと、Yoさんが「支点を下げる」と書かれた事を「針との位置関係でアームの支点を下げる為にアームを傾けて使う」という意味であることを当初理解出来ずに、あの図からただ単にアームを回転させると理解したために、そのシェルからの応力の方向や位置関係が気になってしまったからです。

>そして「アーム上に支点がないため頭がこんがらがってきました」と有りますが、支点は表示していますが・・・。

言葉足らずで申し訳ございません。
一般的なアームはアームパイプの中央に支点があり、その運動は想像しやすいが、アームパイプの中央に支点がなく「やじろべえ状態」のワンポイントサポートアームでは容易に運動を想像することが出来ず、よく分からなくなってきたという意味で書かせていただきました。

私がオイルダンプアームの構造を知ったのは以下のサイトですが、よく調べてみるととても古い設計の物ですし、この資料だけではYoさんが書かれている針との位置関係も分かりませんので参考にはならないかもしれません。

http://www10.big.or.jp/~dh/codo/arm/arm2_j.html
http://audiooyazi.exblog.jp/15626611/


(アッパーフォースとアームのスイング)の解説ありがとうございます。
支点と針の高低差によってスイングする仕組みがよく分かり、なるほどと納得できました。
(クラフトのアームで支点を低くした時の問題点)も概ね理解できました。
2)の項目はまだよく分からない状態ですが、じっくりと考えてみます。


再度申し上げますが、私がYoさんの図に書き加えたものには間違いや、誤解を生む可能性が含まれています。
図を削除すればよいことですが、そうなると先に投稿した文章との照合ができませんので、図はこのまま残し、先の投稿の図の下に注意書きを書き加える形を取らせていただきます。
ご理解お願いいたします。
Yo
投稿日時: 2013/1/23 16:59
一人前
登録日: 2012/3/21
居住地:
投稿: 120
Re: 誰も言わないアッパーフォースの事
zappa1993さん

ご丁寧なお返事有難うございます。

そして私の図に書き込んだ図をアップされた事を謝って頂いて恐縮です。確かに当初は正直に申して「ええ〜?困ったな!」と思いましたが、こうして視点を変えて説明させて頂いた事でお分かり頂けたことは他の方にとっても参考になられたかなと思っています。とにかくアナログをされないzappa1993さんがこれだけご興味を持って書き込んで頂けることはとても嬉しい事ですので、懲りずにこれからも突っ込んで頂けたらと思います。

さて、やはりそうでしたか?「アームを傾けて使う」という事を「アームを縦方向に回転させる」と受け取られているかな?と内心思っておりました。私としても理解が出来て良かったです。・・・そうなんです。針に対して相対的に支点を下げる、すなわち針を持ち上げて傾けて使う事でアッパーフォースの影響を下げて(アームのスイングを防ぎ)音の(特に低音の)安定感を増す工夫だったのです。

ワンポイントオイルダンプアームのサイトのご紹介有難うございます。やはりこれでしたか?私も調べましたがこのタイプが出てきました。米国ではGRAYとかのアームや国産でも有るようですね。SPの時代のアームですね。仰るように針と支点の位置関係が分からないので何とも言えませんが、かなり粘度の高いシリコンオイル等でダンプする構造のようです。取り立てて針に対して支点が高いという構造では無さそうですが、ワンポイントの支点周りを高粘度オイルを充填して動きを制御するタイプで、現代の「動作の軽さ」や「反応の良さ」というワンポイントの良さを追及したタイプには見えません。(最も当時のベアリングなどの他の支点のタイプよりは軽快だったのかもしれません。)とにかく私の申している現代のタイプとは比べない方が良いかも知れません。

>(クラフトのアームで支点を低くした時の問題点)も概ね理解できました。
2)の項目はまだよく分からない状態ですが、じっくりと考えてみます。

これはアームが傍にない方にはなかなか理解が難しいかもしれません。また簡単な図をアップしました。


アームに対してカートリッジをオフセットアングル分傾けて取り付けて有りますので、通常の使い方でラテラルバランスを取ってあるアームをそのまま傾けた場合、ヘッドシェルの両サイドA,Bの高さを比べてもらえば分かると思いますが、必ずAの方が高くなります。すなわちBよりAの方が高くなってカートリッジは傾く・・・という理屈です。
zappa1993
投稿日時: 2013/1/25 22:00
長老
登録日: 2011/3/17
居住地:
投稿: 1916
Re: 誰も言わないアッパーフォースの事
Yoさん

詳しいご説明ありがとうございます。
アームを傾けて使うことに関しては、思い込みが頭を支配して何度考えても間違いが分からなかったのですが、分かるとYoさんのA,B,Cの3通りの実験結果の感想も想像がつくようになりました。

(クラフトのアームで支点を低くした時の問題点)については今回の説明でよくわかりました。
まさに「やじろべえ」ですね。


必要悪のバランスで成り立っているレコードプレーヤーには、色んなアイデアを製品化したものがあり面白いですね。
アームに限って言えば、今回伺ったタイプ以外にもリニトラッキングアームという変わったものがあります。
アーム自体が平行移動してトレースするというのは、とても理に適っているようにも思うのですが、あまり見かけることがありません。
これは音質が悪いのか、或いは構造的にマイナスの面が大きいのか 実際のところはどうなのでしょう?
またお時間のある時に教えてください。

よろしくお願いします。
Yo
投稿日時: 2013/1/28 19:55
一人前
登録日: 2012/3/21
居住地:
投稿: 120
Re: 誰も言わないアッパーフォースの事
zappa1993 さん

お返事有難うございます。何度も申しますが、アナログをされないzappa1993さんがこれだけ興味を持って書き込んで頂けること、そして概ねご理解頂けたようで嬉しいです。

そしてリニアトラッキングアームの話に行きますか?(笑)。
このスレッドで問題視した支点の高さに関してはリニアトラッキングアームに関しても同じ事で、メカ的に複雑な構造を持っているアームですが針をを上下動させる支点の位置が解れば同じように高いか適正かの判断は出来ます。よってリニアトラッキングアームを「支点の高さ」に関して十派一からげには出来ません。zappa1993さんが仰る「理にかなっている」と言う面と「必要悪のバランス」と言う面での音質については私にも意見がありますのでお話させて頂きます。

私がこのスレッドで「支点の高さ」を問題視したのは「音の実在感」と言う事に関してである事はお分かり頂けたと思います。そしてその中で特に「ワンポイント(サポート)アーム」を中心に話をさせて頂いたことの理由からお話させて頂きたく思います。

ワンポイントアームの良さは言葉どおり「一点支持」にあります。アームの上下動も水平方向の回転もこの一点の支点で司られています。支点の形状は概ね右図のようなものです。どの向きにも軽快に動きますので欠点とすれば支点が高いアームが多いことでご理解頂いた様に「安定したバランスの取りにくさ」です。そして最も重要な長所は「支点がリジッドである」と言う事なのです。(リジッド:厳格、ゆるぎない)

アームの性能はとりもなおさず溝を針にトレースをさせてその針の振動を的確に電気信号に変える手伝いをする事ですから、針を保持しているカートリッジ本体を動かしてしまっては何もなりません。特に針が溝に引っ張られることに関してそれを支えるアームの支点が動いたりゆるみがあってはなりません。その点ワンポイントアームは支点が一つでリジッドであることはある意味理想的といえます。針とアーム支点の位置関係が常に安定して厳格に保たれる・・・これが音の実在感に繋がっているのです。だのに「バランスを取りやすいから」という安易な理由で支点を高くして上下にスイングしやすくしてしまっては何もならない・・・これがこのスレッドの本音だったのです。

次に一般的なアームはこの点でどうかと考えますと、上下動の軸と水平方向の回転軸が別のもので2軸で構成されていて可動点は2つと言う事になります。上下動に関しては旧SMEタイプのようなナイフエッジ(上記ワンポイント支点が点ではなく線状の一方向のみ可動タイプ)の他は概ねボールベアリングが使われていると思います。回転系のボールベアリングの加工精度は今や究極まで達していますので支点の厳格さに関しては可動点が2つという事を考慮しても「ほぼリジッド」と言えると思います。

さて前置きが長くなりましたがリニアトラッキングアームの件ですが、基本的に2種類のタイプがあります。
1)センサー&駆動タイプ
文字通りセンサーで何か(アームのわずかな傾きを感知するのか、溝のピッチを感知するのか分かりませんが:すみませんよく調べていません)を感知してモーターでアームを水平移動させる方法です。形式上単体のアームとしては無く、全てプレーヤー一体型で過去の国産の殆どや最近まで有ったB&Oはこのタイプで、中でも最も有名で今でも欲しがる人が居るのがゴールドムンドです。ゴールドムンドは今ではアナログとは無縁のオーディオメーカーですが、成り立ちはリニアアーム付きのアナログプレーヤーだった事を知る人も少なくなったと思います。

余談ですが、ゴールドムンドは元々フランスの会社でアナログ好きの有志が集まって設計し、精密機械加工の得意なスイスで生産していて、その後今の社長が会社を買い取ってスイスに本拠地を移したと聞いています。今となってはメカとは無縁の会社のようになりましたが過去のアナログプレーヤーで一世を風靡した歴史を考えると(スイスに本拠地があるのだし)CDプレーヤーのメカくらいかつてのフィリップスのスイングメカのように音の良い高級タイプを自社開発しろと言いたくなるのは私だけでしょうか?・・・余談でした(笑)。

2)自走タイプ
駆動系の無いタイプで針の動きにアームが追従して水平移動するタイプです。現在でも売られているのはこのタイプで通常のアームのようにターンテーブルと別売で取り付けることが出来ます。
今販売されているのはドイツ・クリアオーディオのアーム(下の写真はTT3と言うアームですが基本機構は他のアームと同じだと思いますが、メカニカルな機構で水平に張ったワイヤーの上を2個のプーリーのようなコマで水平移動させています。)と米国・エミネントテクノロジー社のET-2.5というアーム(下の写真)です。このアームはコンプレッサーでスライド部に空気を送り込んでスムーズな動きを保証しているものです。要するにエアーベアリングと呼ばれるものでエアーホッケーの理屈です。




以上のように2種類のタイプが有るのですが、レコードの溝を作るカッティングマシンのヘッドと同じように針を水平移動させて、トラッキングエラーがほぼゼロとしてトレースするその音は歪み感のないプレゼンスの良さが持ち味で音場の見通しも素晴らしいものだと思います。只音の実体感、エネルギー感に関してどうか?と言われるとそれを大事にする人にとっては満足出来ないところがあるのが実情だと思います。

序文の「支点がリジッドか?」と言う所がリニアアームはスイングアームに劣る点です。メカニカルにスライドする機構は複数のローラーやコマで動くのでリジッドとは言いがたいし、エアーベアリングも空気層が空気バネのように働きますのでリジッドとはいえないものです。要するにスライド機構をリジッドに近づけると軽く動かない・・・これがリニアトラッキングアームの最大の泣き所だと思います。
zappa1993
投稿日時: 2013/2/5 21:21
長老
登録日: 2011/3/17
居住地:
投稿: 1916
Re: 誰も言わないアッパーフォースの事
Yoさん
皆さん

こんばんは

詳しいご解説ありがとうございました。

トラッキングエラーをほぼ0に出来るリニアトラッキングアームは理想的な機構である反面、通常のアームにはない新たな問題点も抱えていると言う事ですね。
私はアナログをやっていませんので実際に手に取って仕組みを確かめることが出来ませんが、それが却って想像力を働かせることになり、必要悪のバランスで成り立つアナログの魅力に興味を持ちました。

リニアトラッキングアームの画像を見ると、ずいぶん大がかりに感じますし、駆動部分も多そうです。
これは支点がリジッドな一点であるワンポイントサポートアームと対極にあるように思います。
アーム自体の長さも短いようですし、駆動部分の振動が及ぼす影響も無視できなかったのではないでしょうか。
(アームが短い分、アッパーフォースに弱い?)
以前にYoさんが投稿されたインサイドフォースも構造上起きないようですし、数字上の歪は少ないもののアームを平行移動させるというアイデアをシンプルな形で具体化できないのが難しいところですね。
自走式のタイプは駆動部分が必要ない代わりに、僅かな力でアームを平行移動させなくてはならず、支点をリジッドにしにくいのが問題ということですね。

それならばアームを固定してターンテーブル自体を平行に移動させれば?と思いましたが、考えることは皆同じで、これも実際に製品化されたことがあるようです。
益々大がかりなシステムになってしまいますが、アナログはどこかそういう力任せのようなところがあるように思いますし、逆に物によっては構造美の様なものを感じさせます。
ターレスのアームは雑誌で見ましたが、その精巧な組み立てや動作原理・構造が美しく、つい見とれてしまいました。

アナログは、針がトレースした振動を正しく電気信号に変換することが第一だと考えると、トラッキングエラーなどの悪要因を潰すことに重点を置き過ぎ、肝心の部分にしわ寄せがくるようなシステムは本末転倒と言えるかもしれません。
それにしてもアナログには奥が深く面白い世界です。


※2/6誤記を訂正いたしました。
(1) 2 »
スレッド表示 | 新しいものから 前のトピック | 次のトピック | トップ

投稿するにはまず登録を
 

新しい登録ユーザ

リュカ 2024/4/23
とりすたん76 2024/4/11

たいらん
2024/4/3
じょんび 2024/3/12
nelton 2024/3/12
ふじいくん 2024/3/5
タンドン 2024/3/5
涼木ゆう 2024/2/22
m.m. 2024/2/22
kbgt 2024/2/19

ログイン


ユーザー名:


パスワード:





パスワード紛失

オンライン状況

36 人のユーザが現在オンラインです。 (30 人のユーザが フォーラム を参照しています。)

登録ユーザ: 0
ゲスト: 36

もっと...