メイン [00-06]アナログレコード 一枚のレコード盤に込められた執念 | 投稿するにはまず登録を |
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投稿者 | スレッド |
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パラジー | 投稿日時: 2011/7/24 14:59 |
一人前 登録日: 2011/1/6 居住地: 投稿: 88 |
一枚のレコード盤に込められた執念 皆さん、この写真なにだか分かりますか?
そう、レコードの溝ですね。 それでは、この曲は分かりますか? 分かるわけないですよね。 正解はサンサーンスの交響曲 第3番 ハ短調です。 指揮者はエルネストアンセルメ、スイスロマンド管弦楽団が演奏しています。 この作品はオルガンを含む3管編成という大きな管弦楽曲で、そこにオルガンが加わるのですから、最後はすさまじい音量になります。 こうしたことから、コンサートで聴く機会はなかなか得られないと思いますし、私も残念ながら聴いた事がありません。ぜひ聴いてみたいと願っています。 最近、システムの改造計画が一段落したことから、秋に楽しむソースを探していて、このレコードを見つけました。 洗浄する前にレコードを眺めていて、ふと気がついたのがこの部分。 レコードの溝を良く観察してみてください。ピッチが荒いうえ、溝が大きく左右に振れて、すんでのところで隣の溝と接触しそうな状態です。 これほどまでに溝が目で確認できるレコードは珍しいと思います。 ご存知のように、溝の振幅は音量、写真縦方向の変化は周波数を表しています。 溝からは、レコーディングレベルが極端に高く、かなり低い周波数まで記録されていることが読み取れます。 そうです、この低音はオルガンによるものなのです。 この作品は二楽章で構成された珍しいものですが、写真は第二楽章の最後の部分。フーガの主題が出現してオルガンが加わり、テンポを変えながら壮麗なエンディングを迎える部分です。 タイトルの「執念」ですが、楽曲が持つ、かくも膨大なダイナミックレンジを忠実にレコーディングしたLONDONのエンジニアに対して感じます。当時としては録音も秀逸でした。 レコーディングは60年代の初頭で、各レーベルが音にこだわっていた良き時代だったのです。 そして、カッティングエンジニアの執念にも感銘します。 国内版は当時都内にあったキングレコードでカッティングされたのですが、写真からも分かるように、エンディングがカッティングマシンの能力の限界になるよう、レベルと溝のピッチを決めています。 ここには私も何度かおじゃましたことがありますが、コンピュータ制御などといったものが無い時代、彼らは楽譜をみながら手でカッティングマシンのハンドルを操作していたのです。 最初からピッチを広げておけば安全ですが、全曲を記録できませんし、逆にピッチ操作を誤れば、隣の溝に接触してしまいます。カッティングは一発勝負ですから、緊張感が伝わってくるようです。 これほどまでにストイックなレコードにはなかなかお目にかかれません。 長い間眠りについていたこのレコード、私が安アパートで、隣から怒鳴り込まれないかとびくびくしながら最終章を聴いていた頃が懐かしく思い出される一枚です。 |
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題名 | 投稿者 | 日時 |
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» 一枚のレコード盤に込められた執念 | パラジー | 2011/7/24 14:59 |
Re: 一枚のレコード盤に込められた執念 | 管理人K | 2011/7/27 2:05 |
Re: 一枚のレコード盤に込められた執念 | パラジー | 2011/7/27 21:40 |
Re: 一枚のレコード盤に込められた執念 | 管理人K | 2011/7/29 2:27 |
Re: 一枚のレコード盤に込められた執念 | のっぽ | 2011/7/30 0:44 |
Re: 一枚のレコード盤に込められた執念 | パラジー | 2011/7/30 15:38 |
Re: 一枚のレコード盤に込められた執念 | のっぽ | 2011/8/2 21:09 |
Re: 一枚のレコード盤に込められた執念 | 管理人K | 2011/8/5 0:31 |
Re: 一枚のレコード盤に込められた執念 | のっぽ | 2011/8/8 11:45 |
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