メイン [00-06]アナログレコード インサイドフォースキャンセラーはインサイドフォースをキャンセルしていない | 投稿するにはまず登録を |
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投稿者 | スレッド |
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Yo | 投稿日時: 2012/7/10 1:43 |
一人前 登録日: 2012/3/21 居住地: 投稿: 120 |
Re: インサイドフォースキャンセラーはインサイドフォースをキャンセルしていない Kさん
ご丁寧な書き込み有難うございます。 Kさんがキャンセラーを音質調整に有用であると考えておられる事は以前から知っておりましたので、このスレッドの立ち上げには躊躇と緊張をいたしました。それでも書き込もうと思い立ったのは実は前段があるのです。Kさんもご存知のあるレコード店店主がレコードを聴く会で「あるメーカーのPLとアームでメーカー指定値が1.5gの所を徐々にキャンセラーの値を増して行ったら1.8gで音の焦点が決まって良い音になった」と話し始めたのです。私は当然「それは危険です」と申してその場は気まずくなりました。その後日談も有るのですがそれは置いておいて、その時思ったのが「キャンセラーを音質調整に使う人はメーカーの指定値を越えて使うんだ」と言う事でした。それでキャンセラーの実情は伝えた方が良いと思ったわけです。しかしこのお返事でアームの指定値より低めでベストポジションがあるとの事ですので指定値を越えずにお使いとの事で少し安心いたしました。 さてここでKさんの書き込みの論点は2つ有ると思います。 一つは >次にインサイドフォースキャンセラーのかけ過ぎによってカンチレバーが曲がってしまうかどうかについてですが、これは経験がないので何とも言えません。 ・・・との事ですが、実の所私も曲げた事は無いのです。というか昔からこのキャンセラーには感覚的に疑問を持っていましたので指定値よりは小さくかけていました。その後力学的に考えてもやはりおかしいとの自分なりの結論に至った後のことは前文のとおりです。キャンセラーの力や方向から言ってもカンチレバーに負担がかかり、その方向と針の左曲がりとは無関係とは言いがたいとの思いから「警鐘」として書かせていただいたつもりです。 もう一つは >最後にインサイドフォースキャンセラーは音質に有効なのか、それとも害はあっても効果はないのかと事で言えば、私はそれなりの効果はあると思います。 これに関しては私も有害無益なものとは申しておりません。「カートリッジの不要な振動を抑える効果」と「厳密な意味でキャンセルはしていないが針がインサイドフォースによって内側の溝壁(左チャンネル)に押し付けられるのを緩和する効果」・・・は有ると申しております。 そこで「音質への効果」の件ですが、言葉の問題かもしれませんがそれを「トレースの安定性への効果」と「音の質感への効果」を分けさせて頂きたく存じます。それは私自身がアームの調整をした後にキャンセラーの値(0〜指定値)を振っても耳がタコなのかも知れませんが「音の質感への効果」は感じないのです。Kさんがおっしゃる「帯域バランス」の変化はこの効果に入ると思いますが私は感じません。「トレースの安定性への効果」は感じる時がありますが指定値の半分程度で不安定だった事はありません。Kさんの仰った「45回転での右チャンネルの歪み感」などは周速が早い分、針が引っ張られる力(摩擦力)が高いのでインサイドフォースも大きくなるのでその例かと思いますし「定位感」にしてもちゃんと設定してあれば左右の音量変化があるとは思えないので右チャンネルの不安定さの問題であろうと思います。 ここで私の調整方法を申しますと、まず針圧は推奨値、キャンセラーは半分程度、アームの高さは水平もしくはわずかに頭下がりで、有効長(時としてアームの設計の有効長が狂って取り付けられてあるPLもあります)、オーバーハング、そしてカートリッジ取り付けの穴が長穴である程度調整可能な場合は傾き(オフセットアングル)の3点の調整を徹底してやります。これでほぼトレースの安定性(音の実在感)を調整は出来ると思っています。その後針圧の調整(私の場合大抵は推奨値の下限となる場合が多いです)そして最後にアームの高さで帯域バランスを調整します。オルトフォンの旧タイプアームのようにキャンセラーのないタイプでも有効長、オーバーハングの微調整を徹底してやる事でトレースに不安定さはほぼ感じない程度まで追い込めると思っています。私のオルトフォンSynergyを付けたRMG212で試しに45回転LPを聴いてみましたが右チャンネルに不安定さは感じませんでした。 >それ以上に大切なのはアナログプレーヤー自体の平行であり、アームの傾きを無くすラテラル調整であるのは言うまでもありませんし、それらの調整の方がインサイドフォースキャンセラーの調整よりも音質的な影響も遥かに大きいとは思います。 仰る通りですね。かつて私もいろいろ試したことがあります。わずかにすり鉢状に中央が窪んだアルミのターンテーブルシートにクランプするスタビライザーを使ってレコードを押さえつけ針がトレースする面を水平に調整したり、インサイドフォースキャンセラーを嫌ってその代わりに針がトレースする面に勾配をつけてワンポイントアームでラテラルバランスも同様に傾けて引力によるアウトサイドフォースをつけて聴いたりしましたがいずれも良い音にはなりませんでした。・・・懐かしいです(笑)。 最後にレコード外周と内周での差を述べられていますが、トレースに関してその差は感じたことはありません。前述のSME Series Vのトレース図を見て頂ければわかると思いますが針とアーム支点を結ぶ線と接線のアングル(角度)は最外周で最も大きく内周に針が進むにつれて小さくなって中央あたりで最低になり、そこからまた大きくなって最内周で最外周に近い値となります。これは何種類ものアームデータを元にCADで書いて角度を求めた経験上すべてこのような設定になっています。つまりオフセットアングルはこの最大と最少の中間で設定しますのでトラッキングエラーアングルは最外周でプラス、中央でマイナスそして最内周で再びプラスとなります。よって針と溝との関係は最内周では最外周と同じような状態になります。只、周速は最内周では最外周の半分以下となりますので溝の状態が同じであれば針を引っ張る力は半分以下となりますのでインサイドフォースも最内周で最少となります。キャンセラーを強くかけると最内周でかけ過ぎとなる可能性はあります。古いレコードで内周で音が歪むものがありますが、これはかつてのオーナーがトラッキングの悪い針でトレースした為に溝を傷つけたと考えます。 余計なこともいろいろ書きましたが、皆様のアナログ設定の一助になればありがたいです。 |
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