メイン [00-03]音楽全般 たかがロックンロール、されど・・・ | 投稿するにはまず登録を |
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投稿者 | スレッド |
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zappa1993 | 投稿日時: 2013/6/20 0:17 |
長老 登録日: 2011/3/17 居住地: 投稿: 1916 |
Re: たかがロックンロール、されど・・・ 皆さん
こんばんは 好きな音楽故、当然皆さん色んな思いがおありだと思いますし、自分の好きな音楽を悪く言われて良い気はしません。 私もELPEAMANさんの「嗜好を言い出すと埒があかない」という言葉に従い、記憶を頼りに歴史的な背景を思い出しながら少し書かせていただきます。 遅くなりましたが、先の私の書き込みに気を悪くした方がおられましたらお詫びいたします。 まず大前提として、ROCKミュージックそのものは決して死んではいません。 常に新しいアーティスト・アルバムが生まれていますし、ROCKの黄金期を支えてきたアーティストの中にも未だに現役で作品をリリースしている人達もいます。 当たり前の話ですが、ROCKと言うのは単に音楽のジャンルを指している言葉に過ぎず、ROCKにカテゴライズされる音楽がリリースされ続ける限り、ROCKは生きていると言えます。 それでは何故「ROCKは死んだ」や「崩壊した」と言う言葉が使われるかと言えば、それは音楽ジャンルとしてのROCKそのものを指したものではなく、ROCKの存在意義や役割、その音楽形態、ミュージシャンのイデオロギーやメッセージ性、更には精神世界への繋がりなどが変貌したということに他なりません。 あまりROCKをご存知では無い方にも分かるように書きましたが、ROCKを長年聴いてこられた方にとっては改めて言う必要もないことであり、実は一番大切な部分でもあります。 日本ではROCKを聴くのは不良だと言われた時代もあったほど、ROCKは若者の暴力性の象徴の様に思われていますが、世界に目を向けてみると暴力性は勿論ありましたが、反戦運動や人種差別問題への抗議など政治色の強さが伺われ、貧困からの脱却など当時の世相を反映したメッセージをもつ音楽であったことが分かりますし、アルコールやドラッグに溺れ現実逃避する若者の捌け口でもあり、同時にフラワームーブメントの様な理想的な自由を求める若者たちの思想とも切り離せない存在でした。 つまりROCKは単なる音楽ではなく、自分たちの思想を反映させる手段であり、それはアートや小説などとも結びつき一つの文化であったと言えますし、社会現象でもありました。 ウッドストックの様な大規模なコンサートが行われるようになり、アーティスト同士がお互いに刺激を与えながら色んな方向性の音楽が生まれた頃でもあります。 音楽は芸術であると同時に文化であり、必然的に時代とともに様変わりしていく要素を持っていたと言えます。 中略しますが、ベトナム戦争終結を受け国家を超えた文化交流が盛んになる中でアメリカでも新たなアーティストがROCKシーンを率先するようになり、それは次第に巨大な資本を投資したショービジネスに様変わりしていきます。 当初レコード会社がアーティストの才能に金を出し、成功は後からついて来ていたものが、音楽業界がショービジネス化していくと、売り上げを伸ばすために売れるアーティストに金を出すというシステムに変貌し、最後にはレコード会社が作曲にまで口を挟むようになりました。 一曲シングルヒットが生まれると、「同じような曲」というクリエイティブなアーティストが最も嫌う注文をレコード会社が強要するようになり、自らの意志に反した音楽活動しか出来なくなりバンドを解散する道を選んだアーティストをたくさん知っています。 やや早急な流れになりましたが、時代とともに若者の思想や文化の象徴であったROCKにビジネスとしての側面が大きくなって行った流れはお分かりいただけたと思います。 80年を前後した音楽の移り変わりの中で、もう一つ大きな影響を与えたのが電気楽器等の発達ではないかと私は考えています。 巨大なアンプを歪ませてラウドな音を作らなくても、小さなエフェクターで簡単に望む音が作れますし、機器のトランジスタ化が進み省電力で故障が少なくなったことは、野暮ったいスタイルから洗練されたスタイルに見た目も変わり、それはアーティスト自身のスタイルにも影響を与えたのではないでしょうか。 更にシンセサイザー等の電子楽器の発達はROCKの可能性を飛躍的に広げた反面、華やかなショービジネスとしてのROCKを後押ししたとも言えます。 (自らアルバムにNo Synthesizers!と書いていたQueenがシンセサイザーを用いたアルバムThe Gameを出したのも1980年です) ※シンセサイザーを否定している訳ではありません。 そしてMTVと共に様変わりしたROCKは、ラジオ等で「聴く」音楽から「見る」音楽の要素が強くなり、レコード会社としては「見せる」と言う部分に大きな比重が置かれるようになり楽曲の良し悪しとは別の所でヒット曲が生まれるようになります。 さて、ここまで来てようやく「産業ロック」の話ですが、私が聴く限りでは彼らが活動を開始した70年代から作風が大きく変わったとは思いません。 もちろん作品ごとに演奏技術も高まり、時代を反映させた音楽にはなっていますが、それは(多少の意識はあったとしても)強く意図したものではなく自然な流れだったのではないでしょうか。 確かに80年を過ぎたあたりからどのバンドも桁違いのヒット曲を連発するようになりますが、これはバンドが売れ線に走ったと言うよりは、時代が彼らの様な音楽を望んでいたと見る方が正しいように思いますし、60,70年代の音楽を知らない若い世代に洋楽の楽しさを知らしめたと言う意味での功績は大きかったと思います。 ROCKに深いイデオロギーを求めるファン層とは別に、この頃は純粋に聴いて楽しい音楽からROCKファンになった人も多かったのではないでしょうか。 ELPEAMANさんがStyxのアルバムのステッカーやライナーノーツで見られた言葉は、当時のROCKの大衆性(或いはレコード会社の売り方)を示していると思いますし、尖がった若者だけの音楽ではなくAORとしての意味合いも持っていたことを表していると思います。 彼らの楽曲の多くは今聴いても良い曲だと思いますが、これは良い音楽センスとバンドのアンサンブルを持っていたからだと私は思います。 結局のところ、時代とともに存在意義や内包するメッセージ、スタイル等様々な変化を伴いながら存在し続けてきたROCKをどの時点で最もよく聴いたかという事が一番のポイントで、一番なじみ深い時代から様変わりしたROCKを「軟弱になった」「変わってしまった」等と捉えることは至極当然のことで、これは何もROCKに限らずJAZZでもCLASSICでも同じことです。 だから70年代のROCKを聴いてこられた方が80年代のROCKを変わってしまったと仰るのはよく分かりますし(しかもこの場合は音楽スタイルよりももっと内面的な部分での変化)、60年代のROCKを聴いてこられた方にとっては70年代のROCKですら衰退したと感じるかもしれません。 今やROCKコンサートも大規模・組織化され、完全に収益を見込んだショーの様相を呈し、もはやROCKに60〜70年代の面影はありません。 アルバムも万人受けするものが好まれるようになり、私が好んだアーティストの才能に畏敬の念を抱くような凄味のある作品は少なくなりました。 しかし、これらを嘆いてばかりいても仕方ありません。 「ROCKは死んだ」とは思いませんが、私たちが求める「ROCKらしさ」は確実に薄れていったと思いますし、今後それが戻るとも思えません。 ROCKの歴史を見ますと、確かに「産業ロック」とカテゴライズされるアーティスト・音楽はありましたが、私はそれを否定的に思ったことはありませんし、寧ろ楽しんだ方です。 そして、ロックの崩壊に関しては産業ロックに罪はなく、それはMTVの台頭や音楽業界の様変わりの中で起こるべくして起こったことであり、同時期に流行ったギターオリエンテッドな音楽が産業ロックとカテゴライズされただけであるように思います。(70年代を通して聴かれてきたROCKとのスタイルの変化は認めます) 産業ロックを肯定するも否定するも簡単な事ですが、それは各々の思い入れとの絡みもありますので、一概に結論を出せるものではありません。 それよりはROCKという素晴らしい音楽の歴史をより深く理解し、またアーティストが何を表現したかったのかという事を再確認することの方が有意義だと思いますし、私のROCKの楽しみ方もそこにあります。 私たちにはまだ聴いていない作品が沢山あります。 それはROCKの黄金期と言われる60年代後半から70年代中頃までの名作の中にもありますし、未知のアーティストの中にもあります。 一生の間にあとどれだけの音楽を聴くことが出来るのか分かりませんが、アーティストが生み出した無数の作品を今後も聴き続けられるというのは、言葉では言い表せない喜びです。 議題から外れた散漫な文章になり申し訳ございません。 「ROCKは崩壊した」ではなく、「ROCKの○○は崩壊した」と読み替えれば自ずと自分に合った自然な解釈が出来るのではないでしょうか。 ※記憶・解釈の違いがあるかも知れませんので、おかしな所があればご指摘ください。 |
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