原理・構造
スピーカースタンドの目的は、いかにスピーカーの持ち味を変えず、性能をフルに引き出すかにあります。スピーカーの持ち味を変えずに性能をフルに引き出すには、決してスピーカースタンドの響きや個性を追加したり、スピーカー自体の振動や響きを抑制してしまうなどの必要以上の振動吸収をするべきではありません。スピーカースタンド自体の目的から外れた製品が多数表れては消えていく中、お陰様で弊社スピーカースタンドRSSシリーズは10年に渡りロングセラーを続けてきました。この事実は弊社スピーカースタンドRSSシリーズが、唯一スピーカースタンドとして個性や癖の発生を持たず、スピーカーの持ち味を変えず、性能をフルに発揮出来たからではないかと思います。
RSSシリーズの特徴は、振動処理に方向性を持たせ、無理な振動抑制を行わずに、素早く振動を逃すという手法に最大の特徴があります。RSSシリーズは天板にA2017S航空レベルアルミ合金と黄銅の貼り合せ、支柱にスティール、支柱内部にテフロン・ポリプロピレン混合充填材、底板にアルミ合金にステンレス製スパイクと、徐々に硬度の高い材質を配置する事によりスピーカーから発生した振動を素早くスピーカー下部に移動させ、スピーカーに戻り再生音を濁らせる逆行振動が発生しない構造でした。
また、A2017S航空レベルアルミ合金や黄銅、スティールなどはそれも本来、非常に心地良い綺麗な響きの素材です。これらの異種金属の組み合わせ、貼り合わせにより余計な共振は排除しながら、心地良く綺麗な響きや音色を残す事に成功したのもRSSシリーズの特徴の一つでした。
この優れた振動処理方式と音響特性を誇ったRSSシリーズはこの度、最終進化を果たしました。スティール製支柱は共振ポイントを持たない楕円形状へと変更、支柱内部の混合充填材はテフロン粉末を最高級リチアトルマリン粉末に変更、ステンレス製スパイクは黄銅製大型脚に変更し、脚底部には振動エネルギーを電気エネルギーから熱エネルギーへと変換し消滅させる特殊制振材まで配置し、より振動処理能力と癖の発生の排除に磨きをかけて登場した、スピーカースタンドの最終形と呼んでも過言がないモデルがRSS-600です。
2017S航空レベルアルミ合金+黄銅製天板
スピーカースタンドRSS-600の天板は10mmという極厚で強度の高いA2017S航空レベルアルミ合金に3mm厚の黄銅を貼り合せた構造です。A2017S航空レベルアルミ合金も黄銅も、それ自体単体で叩いてみますと非常に綺麗で心地良い響きがします。その綺麗で心地良い響きの素材同士を貼り合せますと、異種金属の共振モードの打ち消しあいにより綺麗で心地良い響きはそのままに、余計な共振がピタリと止まり、自然で滑らかな音色となります。
RSS-600の天板を叩いて頂くと判りますが、他のスタンドのような余計な共振は全く発生せず、「コツ」という心地良く短い響きがするだけなのに驚かれる事でしょう。また、金属は硬度の低いものから硬度の高いものへと移動する特性があります。このA2017S航空レベルアルミ合金の裏に黄銅を貼り合せた構造は、スピーカーを乗せた場合、スピーカーから発生した振動はA2017S航空レベルアルミ合金からより硬度の高い黄銅へと移動してスピーカーへと戻らないため、逆戻りの振動によってスピーカーの再生音が濁る事がないのが特徴です。黄銅へと移動した振動はその下に配置された、より硬度の高いスティール製楕円支柱へと素早く移動します。
楕円形状スティール製支柱
RSS-600では新たに楕円形状のスティール製の大型支柱を採用しました。角型や丸型の支柱は必ず固有の共振ポイントを持つため、独自の鳴きや癖の発生が避けられませんでしたが、RSS-600が採用した楕円形状は共振ポイントを持たないため、鳴きや癖の発生が極めて少ないのが特徴です。
この楕円形状のスティール製支柱は天板のA2017S航空レベルアルミ合金や黄銅よりも硬度が高いため、支柱へと移動した振動は決して天板へと戻る事がありませんので、天板自体が共振を起こしたり、それによる共振音の発生やスピーカーへの逆行振動で再生音を濁らせる事がありません。
市販スピーカースタンドの中には支柱に内部損失の高いマグネシウム系の素材を採用し、振動吸収性の高さを謳った製品もありますが、内部損失が高い素材が一概に振動処理能力に優れているとは限らず、マグネシウムのような硬度の低い素材を支柱に使用し、天板がマグネシウムよりも硬度の高いアルミやスティールだった場合にはスピーカーから発生した振動は天板から支柱へとスムーズに移動出来ずに天板に留まってしまい、天板自体が激しく共振を起こして盛大な共振音や付帯音を発生したり、スピーカーへと振動が逆戻りして再生音を著しく濁らせる事になります。
中にはこの共振音や付帯音を解像度の高さなどと履き違えている業者もございますので注意が必要です。
トルマリン&ポリプロピレン特殊充填材
楕円形状の支柱内部にはトルマリン粉末とポリプロピレン粒子を混合した特殊充填材を詰めています。天板から支柱へと移動した振動は支柱内部のこの特殊充填材にて素早く熱変換され消滅します。
実際にRSS-600にスピーカーを乗せて音を出した状態で、RSS-600の支柱を触って頂くと上から下へ行くにつれ、手のひらへの振動の伝わりが徐々に弱くなって行くのを体験出来ます。
またポリプロピレン粒子自体の形状も楕円形状で軽いものとなっており、トルマリン粉末と合わせて、充填材自体が音色的に非常に癖のないものとなっております。実験的に充填材自体を箱に入れて振ってみると判りますが、砂や砂利、鉛粒、鋳鉄粉などがザラザラとした不快で重い音がするのに対し、トルマリン&ポリプロピレン充填材はサラサラと心地良い響きがします。この音の違いは必ずスピーカーの再生音に乗ってきます。
RSS-600はこの響きの良い充填材を目一杯支柱内部に詰めて、支柱内部に空洞が出来た際に発生する定在波や共鳴音の発生を防いでいます。
ACOUSTIC REVIVEでは支柱に充填材を目一杯詰めるというこの作業の為、RSS?600は組立済みで発送させて頂いております(他のスピーカースタンドの殆どはユーザー自身が組み立てなければならず、販売店などに頼んだ場合は組立賃を請求されます)市販スピーカースタンドの中にはあえて充填材も目一杯詰めずに「響きのコントロールをした」などと謳う製品が存在しますが、これはスピーカースタンド自体の共振音を付加して余計な色付けをする事でしかなく、スピーカーの持ち味を変えず、性能をフルに引き出すというスピーカースタンドの目的からは大きく逸脱した行為としか言い様がありません。このような行為が存在するのは、設計者の偏った好みが反映されているのかもしれませんが、それ以上に使用している充填材自体が持つ悪い音色が大きく関わっている可能性が高いと思われます。
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